【#推しコンプ】ヘッドフォン推奨!プロベーシスト五名によるベースコンプ頂上決戦
はじめに
オトノシラセをご覧の皆さんこんにちは!
前回好評だった『最強のオーバードライブ』記事に続く第二弾のテーマは『ベースコンプ』です。
オトノミチシルベ屈指のコンプ愛好家である五人の講師に直撃した、お勧めのセッティングやコンプに対する熱い思いを余すところなくお届けします。
コンプ購入の参考となる記事を探している方から、「コンプって何?」という初心者の方まで、タイトルにビビッ(コンプ処理後)と来た方はぜひ読み進めて頂ければ幸いです!
※編集部注 コンプレッサーとは?
エレキベースの音量のバラつきを抑えるエフェクター。音量差を抑えて聴きやすくしたり、音の粒立ちを揃えたり、音の立ち上がり方を変えたり…と幅広い用途で活用できるエフェクターですが、設定には多少コツを掴むことが必要とも言えます。ヴォーカルやエレキギターでも使われることが多いです。
中村先生
皆様こんにちは、オトノミチシルベ、ベース講師の中村和正です!
今回は普段から愛用しているコンプレッサーを紹介したいと思います!
このコンプとの出会い
当時マルチエフェクターを中心に使っていたのですが、「繋げば太く良い音になる」という噂を聞き、真相を確かめるべく楽器屋さんへ行きました。コンプレッサーはオーバードライブやオートワウ等と比べると効果は分かりにくいかも知れませんが、EBS Multi Compはキャラクターが濃いので試奏した瞬間に『これだ!!』と衝動買いしていました!
気に入っているポイント
演奏ジャンルや組み合わせるエフェクターに合わせて原音重視のナチュラル系も使ったりしますが、EBS Multi Compは太くてとても艶やかなサウンドが魅力です。
このペダルにしか出せない個性を感じられるのがとても気に入っています。何年経ってもやはり定番は外せませんね!!
コントロール類もとてもシンプルで細かい設定をすることは難しいですが、逆にペダルの個性を活かして迷いの無いセッティングが出来る点が気に入っています。
おすすめセッティング
Multi Compは3つのモードを選ぶ事が出来ますが、自分的に1番Multi Compらしさが感じられるTube Simモードがお気に入りです!
スラップ奏法をする時に良く使いますが、Compのツマミをプルの音がある程度圧縮される位置にして、Gainはコンプが掛かって圧縮されるのを見越して原音より少しだけ上がった位置に設定しています。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
私にとってコンプとは
コンプを使う目的は音の粒を揃える、サスティーンを稼ぐ等、時と場合によって千差万別だと思いますが、私は主にコンプならではの音色が欲しい時に使用します。スラップした時のバキッ!!っという潰れた感じやMulti Compらしい暖かみは病みつきになりますよ。
これからも愛用していきたいと思います!
大井先生
皆様こんにちは。ベース講師の大井翔平です。
愛用しているMXR M87 BASS COMPRESSORについて語らせていただきました。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
MXR M87
このコンプとの出会い
この製品を使い始めたのは約5年ほど前のことでした。自分は足元のエフェクターはあまり使用しないタイプで、それまでコンプはDTMでの楽曲制作でプラグインの製品を使うことが主でした。
コンプは音量を揃える用途以外にアタックやリリースの設定で音の輪郭部分を調整出来る点が気に入っていて、そういった処理を勉強していた時期にPC上で覚えた処理のノウハウを演奏時にも取り入れたいと思い、持ち運びしやすいコンパクトエフェクターのコンプの使用を考えました。
しかし当時自分が所有していたコンプは機能が簡素化されていて求める処理ができず、また通すだけで音色が変化してしまうタイプの製品は好みでなかったため、下記の条件で自分に合ったコンプを探し始め、M87との出会いのきっかけとなりました。
①通すだけで音色に色付けをしない。
②圧縮されている音量がリアルタイムでわかるメータがある。
③最低でもthreshold、ratio、atack、releaseの4設定は個別で行える。
ギターやベース向けの製品でこの条件をクリアしている製品は世に少なく、自分が見つけた三つの製品を試して一番音色の変化が少ないと感じた”MXR M87″を採用しました。
気に入っているポイント
採用理由でもある音色に色付けがなくナチュラルである点が特に気に入っています。GRがメータ表示され圧縮量が目で確認でき便利です。小さくて軽いことも気に入っています。
おすすめセッティング
弦による音量差を揃えてタッチのノイズは減らしてアタックとリリースのコントロールで音の輪郭部分をブラッシュアップさせるような狙いで設定しています。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
Ratio
ナチュラルにかけたいので選択できる中で最低の4を選びます。
Input
この製品は固定のthresholdに対しinput側を増減させることでコンプのかかり始めを決める仕様なので、inputが実質thresholdの機能を持ちます。
ベース本体によって出力が異なるので適切な圧縮量となるように使用ベースに合わせた設定をすることが重要です。
自分は1弦開放を並の強さで指弾きした時にGRメータが-1db反応するくらいを目安にinputの設定をしています。
低音弦ほど音量が大きくなるので1弦の音量でコンプが作動するようにthresholdを設定しておくと、全ての弦で音量差が改善され全体に音の輪郭部分の調整が入るのでこの手法はオススメです。自分のベースではこの設定のまま5弦を弾いた時は-10db付近のGRとなりますが、これくらいの潰し方だとM87は音が歪むことがなく安心です。
Output
Inputが決まってから、4弦がエフェクターON/OFF時に同じ音量感になるようにoutputを設定しています。
この設定で理論上は1,2,3弦の音量が持ち上がり、暴れがちな5弦は抑えられることになります。もし5弦がやけに引っ込む場合はコンプ前までの音作りで低域が過剰な可能性が高いです。その場合はコンプを通す前の段階のプリアンプやEQを見直してからinputの設定に戻ります。
Atack
ジャンルによって変えることが多く、自分は12時を基準にモダンな音楽では反時計周りに遅めてアタック感を出し、オールドスクールな音楽では時計回りに早めて他楽器と馴染ませるようなイメージで使用しています。今回はやや早めのアタックに設定しました。ここはメータは特に気にせずベースを弾いた感じで決めています。
Release
常時ONで曲ごとに設定とかはしないので、狙わない音に干渉しない事を優先して自分は早めのリリースタイムを設定しています。
まず短い音の単音や休符のあるフレーズを弾いて音の切れ際のGRメータが戻るスピードを目で確認し、戻る速度の見た目が続く音に関係しなそうなところに目だけでツマミを合わせます。次に早くてアタック感があるスラップなどを弾き、耳で違和感を感じない範囲で半時計周りに少し戻していくイメージで微調整し完成です。
私にとってのコンプとは
自分にとってコンプは音の化粧道具です。
いい塩梅で使用できるようにこれからもコンプを学んでいきたいと思います。
太田先生
皆さんこんにちは。
ベース講師の太田旭です。
今回おおすめさせて頂くコンプレッサーはUNIVERSAL AUDIOのUAFX Preamp and Dual Compressorです!
このコンプとの出会い
ベーシストは度々コンプを探す旅に出るのですが、ちょうどその旅に出ている時にUNIVERSAL AUDIOから新作コンプが出るという事で試奏しに行ったのがきっかけです。
それまではマルチエフェクターに入ってるコンプをよく使っていたのですが、「ペダルとして持っておきたい」という思いも抱いており、さらに「色々な楽曲に対応出来るペダルは無いか?」と思っていた矢先、このコンプが発売!このコンプは内蔵コンプの種類が3種類あり、まさに私の求めていたコンプ像そのものでした。もちろん迷うことなく即購入。
気に入っているポイント
このコンプのいい所はなんと言っても3種類のコンプが入っている事!そしてそのコンプを2種類同時にセットできる事です。
ライブなどは特に楽曲ごとに違う種類のコンプが欲しくなる場面が多いので、2種類セット出来るのは助かります。同時に2つのコンプをかけることも可能です。
また内蔵されているコンプはDYNAコンプ、OPTO LA-2A、FET1176という名機揃いなのも大変魅力的です。
UA610のプリアンプが入っているのもお気に入りポイントで赤いつまみがそのプリアンプなのですがこれを入れるだけでカッコ良くなるというお手軽さも気に入っています。
おすすめセッティング
私のおおすめのセッティングはこちらです!
まずこの3種類の中で最もお気に入りのコンプがFET1176です。このコンプは実機だとかなり高価な物で、レコーディングスタジオなどでは定番とされている名機です。
最近のコンプにはない少し癖のあるサウンドが1176ならではだと思います!
まず、1176モードだとアウトプットの幅が狭目なのでアウトプットは4時くらいと大きめにしています。
コンプは大体10時くらいが気持ち良く掛かる所なのでその辺りにセッティング。
アタックは全体的に早めなので、1時くらいが丁度よく感じます。
リリースは少し長めにとって5時くらい。
レシオは潰し過ぎずかつかからな過ぎずの8:1が好きです。
そしてプリアンプは大体11時くらいに置いてます。この辺りからグンと歪む音になるのでかけ過ぎに注意しながらセッティングしています。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
私にとってのコンプとは
私にとってのコンプとはベースプレイを1段階も2段階にもレベルアップさせてくれる夢のような装置です。
昔は「コンプを使うと下手になる」などと言われていたこともあるようですが、私はそうは思いません。自分にとって好きな音や気持ちいい音で演奏するだけでプレイの質は上がるので、皆さんにはどんどん色んなコンプを試してコンプを探す旅に出て、最高の一台と出会って欲しいと思います!
川村先生
皆様こんにちは!
ベース科講師を担当させていただいております、川村祐輔です。
普段はベーシストとしての活動以外にもトラックメイカー・マニピュレーター等としても活動しています。
このコンプとの出会い
10年近く前になりますが、初めてベーシストとしてツアー規模の現場が入った時に、良質なプログレードで使えるコンプレッサーを手に入れたいと思い、楽器屋さんで気になっていたものを片っ端から試させていただきました。その時最も自分に合っていると思ったK&R Groove Compコンプを購入しました。
気に入っているポイント
私が当時コンプレッサーに求めていたものは、
・なるべく音質が変化しない(強めにかけた時も!)
・ノイズが少ない
・操作が簡単
・ニュアンスをちゃんと出しつつ、荒さを補正してくれる
といったものでした。特に3個目は無茶振りというか偉そうな要望ですね(笑)
僕は当時コンプにエフェクト的な要素は全く求めておらず、また音色的な補正でもなくあくまで細かい音量のムラを補填してくれるものを求めていました。
これは自分がヘタだからコンプをかけて上手く聴かせようという訳ではありません!(そうなってくれれば儲け物だなとも思っている自分もいますが…)
当時サポートしたアーティストはライブパフォーマンスもかなり激しく、曲調も早いテンポでハードな演奏のものも多数ありました。それゆえどうしてもライブにおいて演奏に少しムラが出てしまいます。その音量の少しのムラを、音質を変えず、ニュアンスも潰さず、できればかけているのを気づかないようなそんなナチュラルさで補正してくれるものを探しK&R Groove Compをチョイスしました。
そして、補正という点においてコンプというのは本来エンジニア管轄の非常にデリケートなエフェクトだと思っているので、操作がとても簡単でノイズが出ないというのも現場において絶対に外せないお気に入りのポイントです。
おすすめセッティング
基本コンプ臭くならないようにナチュラルなかかり具合を意識しています。使っているベースの出力によってかかり方が変わるので、このセッティングは一つの参考としてご覧いただければと思います。
ポイントとしては、エフェクトをON/OFFしてバイパス音と比較した時に、
・音量をできるだけ揃える
・かかりすぎて詰まった感じ、抜けの悪い感じになっていないか
という点さえ抑えておけば、あとは自分の好みで調整して問題ないと思います。
特にこのコンプはフルテンにでもしない限り劇的に音色が変化することはありません。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
私にとってコンプとは
非常にデリケートで難しいエフェクトですが、上手く付き合っていけたらとっても助けになってくれるものです。沼にハマってしまったらとっても大変かも(笑)
山之口先生
こんにちは、ベース講師の山之口幹人(ヤマノクチ ミキト)と申します。
都内を中心に、ライブ、セッション、レコーディング、レッスンなど幅広く活動しており、演奏するジャンルもROCK,POP,R&B,SOUL,FUNK,など様々です!
今回はコンプレッサーについて、僕なりの考えをお話しさせていただきます。
このコンプとの出会い
現場で使える品質の良いコンプの中で、
ONにした時のつぶれたトーンが好きなものをいくつか試奏したうえでEmpress EffectsのBass Compressor Blueを選びました!
気に入っているポイント
まず音色がとても気に入っています。
私はコンプを音の粒を揃えるためというよりは、音色が好きで使っています。
こちらのコンプは原音重視で、ONにしてもあまり音色が変わらないようになっていますが、
それでも「わずかな変化」があります。
その「わずかな変化」が良い意味で気になってしまいこのコンプを選んだこともあり、とても思い入れのある一台です。
そしてもう一点で、ONにすると音のバランスが良くなる点もとても気に入っています。
持っているベースや、置いてあるアンプによっては
弦やフレットごとに音量が変わってしまったり、
また、アンプがフラットの状態では低音がとても強く音がこもっていたり
ミドルが出過ぎていたり、色々な問題があるのですが、
それが軽減され、どこを弾いてもベース本体の美味しい部分が出てくるように感じます。
普段毎回アンプを持ち歩くわけにもいかず、いろいろなアンプをその場で音作りしないといけないので
とても助かっています。
コンプをかけた後に、EQ処理を施すことで、さらに理想の音色に近づけやすくなります!
おすすめセッティング
スラップをした時にアタックが潰れないよう調整して、
リリースは長くしてサスティーンを確保しています!
それを現場のアンプやその他の状況に応じてどこまで混ぜるか、MIXをその都度変えます!
EQも内蔵されているのですが、あまり使いません。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
私にとってコンプとは
“頼れる相棒”です!
コンプに頼りきって音の粒を揃えたりすることは無いものの
現場で限られた時間で音作りをする上で、楽器や機材の調子を整えて
スムーズな音作りを可能にしてくれます。
これからも共に苦楽を共にしていきたいですね!