【俺の歪み】プロギタリスト五名が選んだ、最強のオーバードライブペダルとは?
松本先生
オトノシラセをご覧の皆さんこんにちは!
オトノミチシルベギター講師の松本慎也です。
ギタリストの大多数が一度は堕ちていく『歪みペダル』の沼へようこそ!
今回の企画は『プロの推しペダル オーバードライブ編』ということで、オトノミチシルベ ギター講師界のペダル通として知られる五人の講師が愛用するオーバードライブペダルをご紹介させて頂きたいと思います。
ペダル購入の経緯やオススメのセッティング、サウンドサンプルなど盛りだくさんの内容となっていますので、歪みペダルの購入に悩んでいる方の一助になれば幸いです!
※編集部注 オーバードライブとは?
エレキギターの音に軽い歪みを加えて、迫力や温かみを出すエフェクター。ポップスやロック、ブルースなどで幅広いジャンルで使用され、初心者でも扱いやすいことから「最初に買うエフェクター」として広く知られています。
M.I.J Pedals D-Tone
仕様変更して6年前よりもパワーアップしてます!
ペダルの推しポイント
僕がこのペダルに出会ったのは6年ほど前でしたが僕がお世話になっていた師匠がペダルボードに組み込んでいてロック・ポップス系の現場からジャズ・フュージョン寄りの現場のどんな場面でもボードに組み込まれていたのが始まりでした。レッスンの際に早速試させていただいた所帰り道でポチる気持ちを抑えきれず購入に至るまでの時間はスタジオを出て約3分(体感)。
それから6年間一度としてボードから外れたことのない不動のメインペダルとなりました。
音は勿論のこと筐体がたまらなくカッコいいデザインなんですよね。音でいうとよくギタリストが口にする「右手で音を作る」ってのはこういう事なんだなぁー…というのを痛感させられるペダルです。
実はこのペダルギタリストである前田智之さんが制作されているのでプレイヤーの気持ちをいっぱい汲み取って作ってくださってるんですよね。大好き!!笑
オススメセッティング
松本流ですがジャンルによって分けておりまして
ロック・ポップス系
Gain 1-2時くらい Tone 若干上げ目で1時くらい
Volume クリーンより少し大きくなるくらい
Shiftスイッチ 上向き
※Shiftスイッチの操作でLow、Low mid辺りの帯域が強調されます(上向き→スッキリ目 下向き→Low〜Low mid強調)
フュージョン・ブルース系
Gain 12-1時くらい Tone 11-12時くらい
Volume クリーンとあまり変わらないように
Shiftスイッチ 下向き
このどちらのセッティングでも手元のVolノブでドライブ→クリーン調整が効くような手法で音を作っています。
西山先生
BOSS OD-3 魔改造Ver
※上記リンクは通常のOD-3です。
ペダルの推しポイント
ワールドスタンダードな黄色い筐体。
自分は確か中学2年生の時、田舎の楽器店店員に勧められるまま、まっさらな新品個体を購入した記憶があります。
最初なんか思った感じに歪まないし、音がもこもこしている感じがして全然使っていませんでした。
良さが分かり始めたのは大学生の頃。
思った感じに歪まないし、音がもこもこ → マイルドでゲインが浅い状態でも音痩せが少なく芯が太い歪み
に気持ちが変化しました。当時演奏していたジャズ・フュージョンなどのジャンルなんかにマッチしやすい音でした。
OD-3は、同じく歪みスタンダードのTS系よりも少々歪みが深い印象です。
そこでブースターと併用して、OD-3のカラーを残しながらより色々なジャンルの音楽へも対応できるように使っていました。
そのうち人間横着なもので、別でブースターを持っていくのが面倒になってきます。
折しもその頃、ペダルの改造や制作を個人や小規模工房で行うのが流行っていた時期。
これブースターとくっつかないかな?と思ってしまったわけです。そんなこんなで出来上がってきたのが OD-3 魔改造Ver となります。
ついでに歪みのバリエーションも増やしてもらいました。
仕様:ボリューム、ゲイン、トーンはOD-3と同じツマミ位置に、ピンスイッチで歪みのモードが三種類選べ、左がOD-3そのもの、他の二つはよりワイドにレンジが出て固めの音になる。
CHECKランプ青に変更。同下部はブースターのチェックランプ。
通常のBOSS製品同様のスイッチ部分でODのオンオフ、筐体からくり抜かれたペダルでブースターのオンオフ。
サイドのノブはブースターレベル。
オススメセッティング
ローゲインでOD-3本来の優しいサウンドを生かす設定
個人的にこの設定が一番バリエーションが広く使えると思っています。どのピックアップ位置を選択しても全てを太くマイルドに仕立ててくれます。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
ゲインアップ
歪みを増してトーンを上げると切れ味が出てくる。派手に聞こえるが歪みは実は真ん中程度でそんなに強くないので奏法の制御もしやすい。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
更にゲインアップ、モードをモダンタイプに変更、ブースターオン
魔改造Verの歪み、ブースター等全部乗せマシマシ。リードの倍音感と、ゴンっと来るアタックが弾いた瞬間からギターの存在をアンサンブルから一歩前に押し上げる。
サウンドサンプル(前半OFF・後半ON)
大野先生
①NORDVANG – GRAVITY(画像左) / ②KING TONE GUITAR – THE DUELLIST(画像右)
ペダルの推しポイント
「どうしても一つに絞れない!!」ということで二つ紹介させていただきます。
様々な現場でどんな楽曲においてもフィットするギターのサウンドを作るうえで
A. ほぼクリーントーン
B. 軽いオーバードライブ
C. ロックなオーバードライブ
D. ハードなリードトーン
4種類の基本セッティングを用意しておきたいからです。
①と②の機種はどちらもツインペダル式ですので、
①=A.B、②=C.Dという使い分けをしております。
①NORDVANG – GRAVITY
John Mayerのトーンを参考にK社CentaurとI社TS10の回路を収めたデンマーク製のオーバードライブです。
しかもオリジナルで使用されているバッファーもそれぞれ搭載されているので、かなりリアルな再現度になっているようです。
印象としては「ONにするだけで音像が一歩前に出るサウンド」。
クリアーな歪み量が限りなく低いサウンドでも他楽器に負けず、そして邪魔をせずに抜けて聴こえてきてくれるのが本当にありがたいです!
②KING TONE GUITAR – THE DUELLIST
今をときめく海外のブルースギタリストがこぞって使用し一躍有名になった、I社TS808とM社Blues Breakerをインスパイアしたペダルです。
内部スイッチもあり、とても守備範囲の広いオーバードライブペダルになっています。
こちらはオリジナルに近いというよりも”よりモダン”に寄った印象で、「どんな楽器編成でもオケに馴染み、歌を邪魔しないサウンド」。
ゆえに重心を低くしたヘビー寄りなサウンドに仕上げてもギャンギャンうるさくならないので、どの現場でも重宝しています!
オススメセッティング
まずはじめに、同じペダルを使っていても
弾き方・ピック・ギターの種類と状態・ケーブル・アンプ・使用環境と音量
によって大きく異なってきますので、
「このセッティングにすればいいんだ!」
と鵜呑みにせず…聴覚上のポイントも付け加えますので、ご自身がアンサンブル内で弾いた録音を聴いて音作りの参考になれば幸いです。
ギター : SVL ’61 RESERVE’ (ストラトタイプ)
アンプ : Two Rock Studio Pro 35 (combo)
シールド : Gt→Pedal オリジナル(知り合いのPAに製作してもらったもの)、Pedal→Amp Ex-Pro FA
ピック : GHS Strings Medium
●アンプのセッティング
ボーカルの声域にもよりますが、800〜1kのあたりが出過ぎないようにMIDDLEを削り、ベースの低い音と被らないギリギリまでBASSを出すようにしています。
GAINとVOLUMEの関係性は強く弾くとちょっと歪むかな?くらいまで。
A.ほぼクリーントーン
バッキングにおけるカッティングでよく使用する場合、耳が痛くない程度にパーカッシブなハイ成分が出る具合でセッティングします。
ブーストしてクリーンでもソロを弾く場合はギター側のヴォリュームを8まで下げて、少しハイをカットしてあげるイメージで対応します。
B.軽いオーバードライブ
優しく弾けば全然クリーンじゃん!くらいのゲイン量にしています。もちろん楽器編成や楽曲のカラーによって微調整はするのですが。
BとCのカラーの差は歪み量とトーンの明暗で分けたりします。
今回Bは極端に明るく、Cは少し暗めにサウンドメイクしているので、
ポップで明るい楽曲はB、ロックでカッコいい楽曲はCと踏み換えられます。
C.ロックなオーバードライブ
こちらも優しく弾けばクリーン、といったゲイン量におさえます。
ゲイン量というよりもジリジリとしたサチュレーション感を大事に、なるべく倍音を多く含んだように聴かせるセッティングです。
ジャーン!とコードを鳴らした時に自分の好きなロックバンド(僕の場合だとAC/DC)っぽさをイメージしてサウンドメイクします。
D.ハードなリードトーン
ぶっちゃけA~Cでほとんどの場合対応できるのですが、奥の手の完全趣味な派手にカッコいいサウンドとして懐に忍ばせているイメージです(笑)
ここは場合によってFUZZを使うこともあるのですが、80’s風なディレイをかけてロングトーンのチョーキングを弾きたくなるような音(Pink FloydのComfortably Numbみたいな)をイメージしてサウンドメイクしてみました。
秋月先生
Benevale COLT45
今回、僕がお勧めさせていただくオーバードライブペダルは「Pure amp in a box overdrive」(ピュアなアンプサウンドを閉じ込めたオーバードライブ)のキャッチコピーをもつ
Benevale COLT45
です。
ペダルの推しポイント
昨今ギターをライン出力することがメインになり、世間でも優秀なアンプシュミレーターが沢山発売されていますよね。僕も勿論使用しております!
演奏すると、つい言ってしまうのが「ほぼアンプじゃん」です!ほぼ?
やっぱり何処かで物足りなさを感じてしまうんですよね。
そんな時にアナログペダルを繋ぐと良いと教えていただき、COLT45を使用するようになりました。
アンプの持つキャラクターが、よりハーモニクス成分の多いリッチなサウンドになったり、太いサウンドが得られます。強く弾いた時に僅かに歪むようなビンテージ真空管アンプのようなサウンドが特徴です!
オススメセッティング
COLT 45は、ドライブペダル特有の歪みによるコンプレッション、レンジが狭くなるような変化はなく、ナチュラルに「1歩前に出てくるサウンド」が特徴です。なので強く歪むペダルではないです。
オーバードライブやディストーション、ファズといった歪み系ペダルは、踏んだ時のサウンドの変化に感動したり興奮しますよね⁉︎僕はそうなんですよね!しかしCOLT45の使用方法(僕の)は「Allways ON」、常時オンの状態でアンプのサウンドを元気にさせる使い方なのです。
お勧めセッティングはアンプやギターにより異なるので、これといったメモリはないです。しかしメモリ1〜10まで使えない音はないと思います。
サウンドサンプルは写真のセッティングで全て演奏しました。
有馬先生
Greer Amps / Lightspeed organic Overdrive
皆さんこんにちは。
ギター科 講師の有馬孝幸です。
今日は僕が普段からライブやレコーディングで愛用しているオーバードライブペダル
Greer Amps / Lightspeed organic Overdrive
を紹介させていただこうと思います。
ペダルの推しポイント
ここ数年僕はライブ・レコーディング問わず基本音色となる歪みはアンプで作り、その音の微調整としてオーバードライブを使用しています。
ここで僕がよく使用するのが『Lightspeed』です。
いわゆるトランスペアレント系に分類されるペダルで、過度に味付けされすぎず、ギターやアンプの個性を活かした音作りができるのが特徴です。
トランスペアレント系というと最近では『Jan Ray』などがとても人気な印象ですが、比べてみると『Lightspeed』の方は少し荒々しくパワー管が飽和した様な質感で気に入っています。
また、ちょっとしたセッション等で自分のアンプを持ち込まない際にもこの『Lightspeed』で演奏することが多いです。DRIVEをあげていった際の歪みもやはり真空管アンプのレベルをグッと上げたような印象に近く、ピッキングやボリュームコントロールへの追従性が抜群なのでこれをアンプの前に挟んでおくだけでかなり音色の幅を広げることができます!
素材の良さが際立つとでも言いましょうか、、良くも悪くも自分の弾いたニュアンスがダイレクトに出てくるので、今まで気が付かなかったギターやアンプの個性も見えてくるかもしれません。ギターを『弾く』ことが更に楽しくなるようなペダルです!
オススメセッティング
基本は常時ON!!! LOUDNESS(ボリューム)は高めの設定にしています。
DRIVEは気持ち高め(ツマミがというより音色的に)トーンも気持ちブライトめに音作りしてギター側のコントロールで絞って調整できる幅を作っています。(サウンドサンプルでもセッティングはずっと同じで手元のコントロールで音色を切り替えています。)
シングルコイルとハムバッカーを持ち替える際にもストレスフリーです!
おわりに(編集部)
いかがでしたでしょうか?
本日はオトノミチシルベ ギター講師5名の推しオーバードライブを紹介させて頂きました。
エレキギターを演奏するうえでは必需品とも呼べる歪み系ペダル。
大量生産のものから職人が作るハンドメイドモデルなども含めると1000種類以上の歪みペダルが存在するとも言われている中、プロ・ギタリストはどのようにペダルを選び、活用しているのか?その片鱗が少しでもお伝え出来たのであれば幸いです。
皆様が理想のペダルに出会い、より豊かなギター・ライフを過ごして頂けることを祈念しております!