【アプリ連動 #4】Feel Like Makin’ LoveでNeo-Soul系ギターソロを弾き倒す!
皆さん、こんにちは!
オトノミチシルベ 春日市・大野城市ギター教室 講師の目見田 光です。
第4回『PhraseStock』連動ブログではNeo-SoulやFunk系セッションの定番曲「Feel Like Makin’ Love」を題材にしました。
ぜひ、アドリブやギター・ソロ作りの参考にしてください!
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アプリ『PhraseStock』のご紹介
『PhraseStock』は プロギタリスト監修のフレーズ練習アプリ。楽譜はもちろん、プロによるお手本動画やリアルタイムで押弦ポジションが表示されたりと様々な機能でフレーズ習得をサポート!
本記事で紹介されている『Feel Like Makin’ Love』のフレーズはオトノミチシルベ 福岡エリアのギター講師 目見田光先生による考案!
アプリ『PhraseStock』にも収録されていますので、アプリとブログの併用でよりフレーズへの理解が深まります!
「コード進行解析」
まずはリードシートを見ながらコードを弾いて、進行を確認していきましょう!
Aセクション(アナライズ)
強進行(4度進行)の連続で3小節目のE♭△7(トニック)で落ち着き、4小節目に次の小節へ向かうためのドミナント7thコードを導入するという4小節パターンの構成になってます。
Fm7→B♭7sus4は形式的にはⅡ-Ⅴといっても良いかもしれないがsus4なのでトライトーン(#4thの音程)が含まれておらず、ドミナント・モーションにはなっていません。
そして、この曲のアドリブでペンタトニック・スケールのフレーズが活きる最大の要因はB♭7がsus4になっている事です。
これについて詳しくは「ソロのコンセプトを決める」の章で説明します。
4小節目
D♭7は
C7へのセコンダリー・ドミナント7thコードであるG7の裏コード。
C7は
Fm7へのセコンダリー・ドミナント7thコード。
8小節目
A7は
A♭△7へのセコンダリー・ドミナント7thコードであるE♭7の裏コード。
この曲は最後にCm7で落ち着く進行になっているため、マイナー・キーでディグリー・ネームを付けているが、このAセクションは平行調のE♭メジャーと考えた方が分りやすいかもしれないですね。
Bセクション(アナライズ)
ここも4小節パターンの進行と言えるでしょう。
1~4小節目
A♭△7からダイアトニック的に下降していき、4小節目のCm7(トニック)で落ち着く。
5~8小節目
前の4小節との違いは3小節目のコードだけですが、Fm7をD♭7に変更することでCm7への裏のドミナント・モーションになり、強い進行感が生まれてます。
9小節目
F7はトニックであるCm7をⅡ-Ⅴに分割したものです。
また、次のコーラスへも自然につながっています。
これは冒頭のFm7 B♭7sus4をⅡ-Ⅴと考えると、F7はB♭7sus4に向かうセコンダリー・ドミナント7thコードでもあるからです。
この1小節おまけで付いてる字余りの様な部分がFeel Like Makin’ Loveの特徴的な進行になってます。
「ソロのコンセプトを決める」
何コーラスも繰り返してアドリブの練習をする場合、漠然と毎回同じフレーズにならないように弾くだけだと、なかなか上達しません。
それは、自分では練習しているつもりでも得意なスケールの得意なポジションで得意なフレーズを弾いて遊んでいるのと大差ないからです。
基本的に練習とは一定の作業を反復して、その技術を身につけること。
しかし、毎回同じフレーズを弾くのではアドリブの練習にはならならい・・・。
これを解決するにはソロのコンセプトを決めて練習するのが効果的です。
~練習方法~
①その楽曲には、どのようなソロが合うか考え、演奏のスタイルやアプローチの方法を決める。
②小節ごとに大まかに演奏する事を決める。
③弾くたびにフレーズは変えるが、②で決めたことは守って繰り返し練習する。
偶然、良いフレーズが弾けたとしても②で決めたことを守れずにコンセプトから外れていたら失敗したと考える。
この方法で練習すると、いつでも自分の狙ったサウンドのソロが弾けるようになり、
様々な楽曲に対応出来るようにもなります。
さて、今回の題材として取り上げた「Feel Like Makin’ Love」ですが、私の作成したBacking Trackの雰囲気からしてNeo-Soul系のスタイルでソロを弾くのが良いと判断しました。
Neo-Soulといえばオシャレ系ペンタ・フレーズですね!
って事でペンタを主軸に、適度なテンション感とロックっぽさを入れて自分の個性を出す事にしました。
では上記の事を表現するために私が考えた
「Neo-Soulを、よりオシャレに弾くための攻略法」
の内のひとつを紹介しましょう。
それはコードの機能ごとにアプローチの仕方を決めて弾く方法です。
●サブドミナント → そのkeyのペンタトニック・スケールで弾く。
(自動的にテンション感が出ます。)詳しくは(Lesson 1)を参照。
●トニック → ペンタトニックに無い音使いでテンション感を出す。
(ペンタのフレーズとの対比でオシャレ感が倍増。)
●ドミナント系 → ドミナント系のフレーズでオシャレに。
(JazzやFusionの雰囲気が加わります。)
(Lesson 1)
では、小節ごとに大まかにやる事を決めます。
Aセクション(コンセプト)
Bセクションでソロを盛り上げるために高い音域を使用する事を見越し、12フレットより下のポジションで弾く。
ペンタはBlue Noteを経過音に使い、大きなフレーズでドッシリと弾く。
B♭7sus4はFm7onB♭と考える。詳しくは(Lesson 2)を参照。
これで1~2小節目と5~6小節目はFm7だけを意識して弾けばよい事になり、Cマイナー・ペンタ1発で弾く事が効果的になります。
(Lesson 2)
E♭△7(3小節目と5小節目)は△7th(D)をターゲット・ノートに選びCマイナー・ペンタに無い音使いでソロの色合いを変える。
ドミナント系のコード(4小節目と8小節目)は定型的なドミナント・フレーズを使用してJazz的なオシャレ感を演出する。
使用するスケールは
D♭7 → リディアン♭7th
C7 → ハーモニック・マイナー・パーフェクト5th・ビロウ、またはオルタード
A7 → リディアン♭7th
です。
Bセクション(コンセプト)
ハイポジションに移行して行く。
サブドミナント(A♭△7とFm7)はペンタで攻める。
ペンタのアプローチに熱のあるチョーキングや速いパッセージを入れ、適度にRock的な盛り上げ方をする。
Gm7(2小節目と6小節目)
Gマイナー・ペンタを使ってフレーズを作る。
Cm7
アッパーストラクチャーを使ったJazz的なフレージングでペンタとの色合いを変え、オシャレ感を演出する。
アッパー・ストラクチャーについて詳しく知りたい方は『PhraseStock』連動ブログ第1回の(EX.1)を参照してください。
D♭7
リディアン♭7thを使用した16分音符で埋めたJazz的なフレージング。
F7
テンション感が高めで浮遊感のあるフレージングで自分の個性を出す。
#11thを効果的に使う。
使うスケールはリディアン♭7th。
「ソロのアプローチ(Aセクション 1~4小節目)」
いよいよギター・ソロの分析です!
ここから4小節ずつTAB譜を載せて解説していきます。
1小節目 Fm7
アッパー・ストラクチャーの考え方を使ったフレーズです。
Fm7に対してCm7の分散和音を弾いてるだけですが、譜割りと音価を工夫する事で、ただ分散和音を弾いているだけに聴かせないフレージングをしてます。
スライドを使った歌い回しもポイントです。
Cm7はFm7の5th(C) ♭7th(E♭) 9th(D) 11th(F)で作られた和音
2小節目 B♭7sus4
ブルー・ノートを使ってCマイナー・ペンタトニック・スケールをブルージーに弾いてます。
3拍目裏からは次のコードのターゲット・ノートに向かう意識をしているだけのフレーズ。
3小節目 E♭△7
シンコペーションで予定通り△7thに着地し、1~2小節目で弾いているペンタ・フレーズとの色合いの違いを出す。
そして5thからオクターブ上の5thへ。
最後の32分音符は次のコードであるD♭7の5thへのダブル・クロマチック・アプローチ。
4小節目 D♭7 C7
1~2拍目はD♭リディアン♭7th・スケールを下降していくだけのフレーズ。
3~4拍目はマイナーⅡ-Ⅴ化してGm7(♭5) C7と考えたフレージングをしてます。
3拍目はGm7(♭5)の分散和音をRoot(G)から上昇。
4拍目はCオルタード・スケールを弾いてます。
最後の32分音符はダブル・クロマチック・アプローチ。
「ソロのアプローチ(Aセクション 5~8小節目)」
5小節目 Fm7
ディレイド・リゾルブ(遅れて解決する)という手法を使ってます。
1拍目は前の小節のC7が延長してるつもりでCaugの分散和音を下降し、2拍目でFm7の9thに解決。
6小節目 B♭7sus4
ブルー・ノートを使ってCマイナー・ペンタトニック・スケールをブルージーに弾いてます。
7小節目 E♭△7
シンコペーションで予定通り△7thに着地して、5thへ。
3小節目と全く同じターゲット・ノートの選び方ですが、チョーキングを使った歌い回しを使ったり、譜割りと音価を変えることで全然違う印象のフレーズに聴かせています。
このようにターゲット・ノートが同じでも全然違って聴こえるフレーズを簡単に作れるようになるには「ソロのコンセプトを決める」の章に書いた練習方法(決めたコンセプトは守るが、フレーズは弾くたびに変えていく練習)が、とても効果的ですよ。
8小節目 A7
裏コードであるA7を表のE♭7と考えて弾いてます。
さらに1拍目はⅡ-Ⅴに分割したB♭m7と仮定してフレージングすることにより実際に鳴っているA7に対して、少し面白い音使いになってます。詳しくは(Lesson 3)を参照。
アウフタクト~1拍目は
アッパーストラクチャーの考え方を使ってB♭m7の♭3rdから△7(D♭△7)の分散和音を弾き、ダブル・クロマチック・アプローチでE♭7の3rdへ向かう。
2~4拍目は
E♭7の3rdからオルタード・スケールの定型フレーズで下降。
(E♭オルタード=Aリディアン♭7th)
(Lesson 3)
「ソロのアプローチ(Bセクション 1~4小節目)」
1小節目 A♭△7
A♭△7の5th(E♭) △7th(G) 9th(B♭)で作られるアッパー・ストラクチャー・トライアド(E♭)を意識したブルージーなフレーズを弾いています。
2小節目 Gm7
11thをチョーキングで弾いて♭3rdに着地。
3小節目 Fm7
6連符を使ったブルース・ロック系のフレーズでソロを盛り上げる。
4小節目 Cm7
1拍目は♭3rdからの△7(E♭△7)の分散和音を弾いてます。
使っているのは2音目から急にオクターブ下がるパターンの弾き方です。
分散和音を度数の順に弾いていく場合、2通りのパターンがあります。
これについて詳しく知りたい方は『PhraseStock』連動ブログ第3回の(Lesson 6)を参照してください。
ここもアッパー・ストラクチャーの考え方を使っており、表現しているサウンドはCm9です。
2拍目はRootから♭7thへのクロマチックを使ったフレーズです。
そして3拍目にブルー・ノートの♭5thを主音であるRootと対比させるようなフレージングでリズミックに下降し、4拍目で♭3rdに着地。
「ソロのアプローチ(Bセクション 5~9小節目)」
5小節目 A♭△7
A♭△7の5thからオクターブ上の5thを目指してCマイナー・ペンタトニック・スケールを上昇し、チョーキングで△7へ。
6小節目 Gm7
熱のあるタメの効いたチョーキングで11thを弾いて♭3rdに着地。
7小節目 D♭7
シンコペーションしたチョーキングで#11thから入る。
D♭リディアン♭7th・スケールを次のコードであるCm7の5thへ向かって下降していく。
2拍目までは#11thが強調されており、かなりテンション感の高いフレージングになってます。詳しくは(Lesson 4)を参照。
(Lesson 4)
8小節目 Cm7
1~2拍目
Gm7とE♭△7の分散和音を弾いてCm7(9.11)を表現してます。
これもアッパー・ストラクチャーの考え方を使ったものです。
このフレーズのようにm7コードでは5thからのm7→♭3rdからの△7の順番で分散和音を弾いて9thと11thを表現するのが常套手段になります。
3~4拍目
1音チョーキングで9thを弾き、そこから更に半音チョーク・アップして♭3rdを出してます。
そしてタメを効かせたチョーク・ダウンで次のコードであるF7の#11thへ着地。
9小節目 F7
シンコペーションで#11thから入りGaugの分散和音で下降。
そして最後は13thで締めくくってます。
これは、かなりテンション感が高く浮遊感のあるフレージングです。
詳しくは(Lesson 5)を参照。
(Lesson 5)
「最後に」
これまで解説された事を意識しながらフレーズを弾いてみましょう。
意図のあるフレーズの作り方やコードとスケールの両方から見たハーモーニーの感覚が身に付くと思います。
お手本と一緒に練習したい人は、ぜひアプリ入れてみてくださいね。
PhraseStockには今回のようなソロ以外にも色々あります。
基礎的なテクニックの練習用のものからNeo Soul,Rock,Blues,Funk,Jazz,Latin,Fusionなどオール・ジャンルのフレーズが満載です。
スケールやコード・トーンの表示機能もあり、テンポも自由に変えられるので指板上の音の理解や難しいフレーズの練習にも向いていると思います。
目見田 光
15才からギターを始め、96年九州芸術音楽学院ギター講師就任と同時にプロ活動を開始。
大森明、小畑和彦、川崎哲平、中村あゆみ、日野"JINO"賢二、村田隆行(あいうえお順 敬称略)など多数のトップ・ミュージシャンとのライブやレコーディング、CMやゲームの音楽制作と幅広く音楽活動を続けている。
またロックやジャズ、フュージョンなど様々なジャンルに精通したオールラウンドな演奏スタイルを持つ数少ないギタリストである。
現在では演奏以外にもアレンジ、プログラミング、など活動の場を広げ活躍中。