【黄金のディレイタイムとは?】ディレイの各種ツマミのおすすめ設定をプロギタリストが完全解説!
こんにちは!オトノミチシルベギター講師の西山昌一郎です。
様々な場面で活躍してくれる「Delay」(ディレイ)というエフェクト。
弾いた音を山彦的に返すという役割を持っていますが、今回はこちらの設定について記していきたいと思います。
皆さんは、ご自身のお気に入りのディレイを買ったり、お手持ちのマルチエフェクトの中からディレイを選択して、各々いい感じ!って思えるセッティングにされていると思います。
今回皆さんと同じように、自分のこだわりのセッティングを詳しく解説し、その理由を検証していきます。
ディレイの機種問わず、コンパクトでもマルチでも、DAW内のプラグインでもおおよその基本は通用する内容と思います。
1章<ディレイを選択する前に>
まず初めに、ディレイといってもアナログ、デジタル、モジュレーション、テープエコー、リバーヴと近いもの
本当に多岐にわたります。
普通は最初に多くの選択肢の中から機種をどれにしようか選ぶわけですが、
実は自分はディレイの選択は後からなんです。
その前に試奏の段階でいくつかのエフェクトを並べて下記の3点をある程度設定してしまいます。
作動基準を作った方が機種性能差や特徴、出来る事が分かりやすいからです。
1,Time設定
一番初めに設定した方が良いのはディレイの山彦反射速度です。
これはリードギターなどで気持ちよく反響が返ってくるような効果を狙う場合、もちろん楽曲毎にテンポを計算してもよいと思います。
こちらはディレイ計算機というWebサイトがあり、目的の速度に楽曲のBPMを打ち込めば数字を出してくれるとても便利なサイトがあります。
しかしライブでは楽曲毎にディレイタイムをプログラミングするのはマルチエフェクターでもかなり面倒です!
しかもバンドで合奏する時なんかは、クリックが走っていない場合もありますので、曲の速度はやるたびに微妙に変わります。
本番でバンド全体が勢いや緊張で速くなってしまった経験は誰にでもありますし、それはクリックなどの機械に支配されず、自由にその時の空気を感じて演奏する面において、音楽的には最も素晴らしい事の一つだと感じます。
しかし、これだとせっかく苦労して設定しておいたディレイのタイミングが合わなかったりします。
例えばリードギターなどで気持ち良いソロの残響を狙うのであれば
「黄金の数字」というのが存在します。
どんなテンポに対しても、358msec~375msecあたりに設定しておけば不思議な事にあまり違和感なく気持ち良い残響が手に入ります。
これはどういうことかと言うと、先ほどのディレイ計算機に色んな楽曲のBPMを入れてみてください。
必ず300~400の数字がどこかの音符で表示されるはずです。
ソロの残響というのは、後のフィードバックの話にも繋がりますが、何発も明確なディレイを返さなくてもいいわけで、しかも次々と別の音も弾いているので今弾いた音をディレイが濁さないためにディレイレベル(音量)もそんなに高くありません。つまり厳密なテンポ定義をしなくても、ある程度気持ちよく聞こえてしまいます。
U2みたいにディレイが残響的効果ではなく、楽曲の軸として存在する曲をやる際は、しっかりテンポを計算し、バンドなどでテンポに揺れがある際はタップ機能付き(足で踏んでタイム設定可能なもの)を選ぶとよいと思います。
自分もオトノミチシルベ発表会なんかで色々なジャンルの楽曲を一気に演奏する際は、タップを使っています。
因みにU2的なトコトコとリズミカルにディレイが返ってくる場合、タイムは楽曲の1/8D(付点8分音符)に設定して演奏は8分音符でアルペジオを刻むと良い感じになります。
岸田教団&THE赤星ロケッツ「緋色のDance」(原題:亡き女王の為のセプテット 東方Project)
大好きなこの曲のイントロなんかも!
2、必要なFeedBack
フィードバックとは山彦、つまりディレイが返ってくる回数です。
先ほどのソロ残響なら、自分は弾き終わった時にディレイが3回くらい返ってくれば十分に思うので、
パラメーターの値ではなく、ツマミの位置で何回ディレイが返るのか聞いて判断しています。
特殊効果を狙わない限りは、自分のフィードバックは多くて5~6回です。
特にディレイレベルが上がった状態でフィードバックが多すぎるとカオスになるのでお気を付けください笑。
逆に狙って発振(フィードバックが無限に返ってきてハウリングする現象)を起こせたりする機種もあります。シュゲイザー系でよく耳にします!
動画の4:30~あたりから
自分もこの効果が欲しくてデラックスメモリーマン(通称:弁当箱)は手放せません。
3、レベル(音量設定)
ディレイの返ってくる音量です。こちらもマルチやコンパクトなど機種ごとに、つまみやパラメーターの効果に差があります。
今回50%で原音とディレイは同じ音量になるとして考え、あとは聴覚上で
・ギターソロの残響 25~35%
・U2などのディレイメインの場合 40~48%(原音と近い音量のディレイレベル)
にしています。
上記を参考に、まずはお手持ちのディレイを使って設定を行ってみてください。
きっと「なんとなくいい感じ」から、理由を持って「明確にいい感じ」
にシフト出来る事でしょう。
次はいよいよディレイの基本的な選び方と設定を行います。
西山 昌一郎
ギタリスト、アレンジャー。 リットーミュージック「ギター・マガジン」誌コンテスト「2016 Guitar Magazine Championship vol.9」 グランプリ受賞。 2012準グランプリ受賞。
日本大学文理学部卒業。同大学Jazz研、慶応大学クロスオーバー研究会所属。在学中より、プロとして活動を始める。
アニメジャパンフェスティバルAJF NeoGeneration2013ハウスバンド、織田哲郎、マキタスポーツ(Fly or Die)、Kinki Kids、柊木りお、アキシブProject、GALETTe、ANNA☆S、渡辺宙明、堀江淳、五條真由美、チャン・リーメイ、マスダシマイ、asfi、sonymusic劇団ハーベスト、執事歌劇団Tact、ツートン青木、青木隆治、Voice、ユージソン、やないけいこ、金色のコルダ、アンジェリーク、三國無双、戦国無双シリーズ、楽器フェア2016JVC KENWOOD社デモンストレーター等々、レコーディング、アレンジ、コンサート、TV撮影等に参加。
ギター、ウクレレ講師としても、一般生徒の他に、ギタートレーナーとしてGAKU-MC(EASTEND+YURI)、MIKI(SoundHorizon)等を担当。
1983年、福井県生まれ、富山県育ち。奥山雄樹、松原正樹、鈴木健治に師事を受ける。