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『キモチはオトに、変えられる』プロミュージシャン直伝の音楽教室
『キモチはオトに、変えられる』

プロミュージシャン直伝の音楽教室

【アプリ連動 #3】酒バラでサブドミナント・マイナー終止を攻略

皆さん、こんにちは!
オトノミチシルベ 春日市・大野城市ギター教室 講師の目見田 光です。
第3回『PhraseStock』連動ブログではサブドミナント・マイナー終止が使われたジャズ・スタンダードの代表曲「酒とバラの日々(Days of Wine and Roses)」を題材にしました。
是非、アドリブやギター・ソロ作りの参考にしてください!

アプリ『PhraseStock』のご紹介

『PhraseStock』は プロギタリスト監修のフレーズ練習アプリ。楽譜はもちろん、プロによるお手本動画やリアルタイムで押弦ポジションが表示されたりと様々な機能でフレーズ習得をサポート!

本記事で紹介されている『酒バラ』のフレーズはオトノミチシルベ 福岡エリアのギター講師 目見田光先生による考案
アプリ『PhraseStock』にも収録されていますので、アプリとブログの併用でよりフレーズへの理解が深まります!

「コード進行解析」

まずはリードシートを見ながらコードを弾いて、進行を確認していきましょう!

「Aセクション1~8小節目」

1小節目トニックのF△7から始まる。
2小節目のE♭7は4小節目のD7に対するセコンダリー・ドミナントの裏コードとの解釈もできますが、この場合はサブドミナント・マイナー(SDM)と考えるのが妥当だと思います。
3~4小節目は5小節目のGm7に向かうためのマイナーⅡ-Ⅴです。
この4小節のメロディーはFメジャー・スケールのみで作られており、サブドミナント・マイナーやセコンダリー・ドミナントの特徴的な音は使われていません。
元々はトニックだけのシンプルな進行だったところをリハーモナイゼーションしてコード進行にスピード感を出したのではないかと推測できます。 (Lesson 1)を参照してください。

(Lesson 1)

このようにリハモしていった過程を想像する事で、楽曲の理解度を深められます。
また、作曲やアレンジの能力も向上すること間違いなしです!

5~8小節目は
サブドミナント(Gm7)
サブドミナント・マイナー(B♭m7 E♭7)

を対比させた進行になってます。

そして9小節目のトニックへ向かうのでサブドミナント・マイナー終止の形式です。
この4小節が「酒バラ」の特徴を出しているポイントだと思います。

「Aセクション9~16小節目」

9~12小節目は、Ⅲ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの循環コードです。
次の2小節にはC7へ向かう2拍ずつのⅡ-Ⅴが連続してあります。
この部分もメロディーから考えると元々はトニックだけのシンプルな進行だったところをリハーモナイゼーションしてコード進行にスピード感を出したのではないでしょうか。
私は13~16小節目も上の段と同じⅢ-Ⅵ-Ⅱ-Ⅴの循環コードだったのではないかと考えてます。(Lesson 2)を参照してください。

(Lesson 2)

このようにトニック的な落ち着いたメロディーに相反する動きのあるコードを付ける事で曲の雰囲気をガラっと変えることができます。
CとAmのKeyでサンプルを作っておきました。(Lesson 3)を参照。
実際に弾いてサウンドの違いを感じてみてください!

(Lesson 3)

かなりメロディーの印象が変わったことが実感できたのではないでしょうか。
この例のようにトニック的な落ち着いたメロディーにサブドミナントやサブドミナント・マイナーのような動きのあるコードを付けると余韻を感じて大人な雰囲気が演出できます。
これは作曲やアレンジで、とても役に立つ手法です。

Bセクション1~8小節目はAセクションと同じ。

「Bセクション9~16小節目」

最初の2小節はトニックでⅢm7 Ⅵm7の強進行。
11~12小節目のBm7(♭5) B♭7は下段のAm7へ向かうマイナーⅡ-Ⅴのセコンダリー・ドミナント7thコード(E7)を裏コード(B♭7)に変えて半音進行にしたものです。
そして解決したAm7から2拍ずつの循環コードでF△7に着地。
これが1コーラスになります。

「ソロのアプローチ(Aセクション 1~4小節目)」

いよいよギター・ソロの分析です!
ここから4小節ずつTAB譜を載せて解説していきます。

1小節目 F△7

F△7の3rdから分散和音で次のコードの3rdを目指して上がっていくだけですが、フレーズの入り口にクロマチック・アプローチを使って変化をつけてます。

2小節目 E♭7

3rdからクロマチック・アプローチで9thへ。
そして2音のアプローチ・ノートを使って4拍目裏で次のコードAm7(♭5)の♭5thに着地。
このアプローチ・ノートには次のコードのスケールを使用してます。
スケール・チェンジが必要な場合、4拍目ぐらいで次のコードを示唆するような音使いをしてやるとラインが自然になってフレーズが綺麗です。

3小節目 Am7(♭5)

11thをターゲット・ノートにしてます。
ここはアウフタクトで弾いた♭5thと11thで△7thのインターバルが出来るのを強調したフレージングです。

4小節目 D7

ハーモニック・マイナー・パーフェクト5th・ビロウの定型フレーズを弾いてます。
♭7thから順番に下降していってるだけなのでスケールを指板上で把握するのにも向いたフレーズです。
しかし、それだけではなくコード・トーンが全て表拍にあるし、最後の音が♭7thで終っているから下降するだけで次のコードの3rdへとスムーズに繋げられる秀逸な作りになってます。(4度進行では、必ず前のコードの7度の下に次のコードの3度があります
また2拍ずつのマイナーⅡ-Ⅴの上でも、そのまま使えて便利です。
詳しくは(Lesson 4)を参照。

(Lesson 4)

「ソロのアプローチ(Aセクション 5~8小節目)」

5~6小節目 Gm7

まずは♭3rdに解決し、上下で挟み込むアプローチ・ノートのパターンでRootへ。
次の小節ではDm7とB♭△7の分散和音を弾いてGm7(9.11)を表現してます。
これはアッパー・ストラクチャーの考え方を使ったものです。
このフレーズのようにm7コードでは5thからのm7→♭3rdからの△7の順番で分散和音を弾いて9thと11thを表現するのが常套手段になります。
アッパー・ストラクチャーについて詳しく知りたい方は『PhraseStock』連動ブログ第1回の(EX.1)を参照してください。

7~8小節目 B♭m7 E♭7

この2小節はコード・トーンへアプローチ・ノートを使って着地してるだけのフレーズです。(Lesson 5)を参照。
両コードとも3~4拍目は同じ度数の選び方をしてます。

(Lesson 5)

「ソロのアプローチ(Aセクション 9~12小節目)」

9小節目 Am7

♭3rdに着地。
3拍目裏からクロマチック・アプローチを使って次のコードの♭3rdへ。

10小節目 Dm7

♭3rdからの△7(F△7)の分散和音を弾いてます。
表現しているサウンドはDm9です。
分散和音を度数の順に弾いていく場合、2通りのパターンがあります。
ここで使っているのは2音目から急にオクターブ下がるパターンです。
詳しくは(Lesson 6)を参照。(ついでにドミナント・フレーズのパターンも説明しておきます。)
素直に上昇して弾くものとはフレーズの印象が変わっていると思います。
ギターの場合は楽器の構造上、2弦や1弦から上昇する分散和音は弾きにくいので、このパターンは便利です。同じ分散和音でも弾き方次第でフレーズが2倍になります!

(Lesson 6)

11小節目 Gm7

クロマチック・アプローチから入り、3拍目で♭3rdに着地。
これは9小節目で使ったものと同じパターンですが、譜割りを工夫することで印象を変えてます。

12小節目 C7

アッパー・ストラクチャーの考え方で♭7thから△7(♯5)の分散和音を弾いてます。
C7から見ると♭7th 9th ♯11th 13thとなり、かなりテンション感が高いです。
そして3拍目で♭7thに着地。
4拍目は#11thから次のコードの11thにスライドしてます。

「ソロのアプローチ(Aセクション 13~16小節目)」

13小節目 Em7(♭5) A7

1拍目 シンコペーションで11thから入る。
2拍目 ダブル・クロマチック・アプローチ
3拍目 ♭13th → 3rd
4拍目 ダブル・クロマチックを使った5th解決の定型ドミナント・フレーズ

14小節目 Dm7 G7

1~2拍目 5thからのm7→♭3rdからの△7の順番で分散和音を弾いく常套手段。
3~4拍目 ダブル・クロマチックで3rdに着地。

15小節目 Gm7

Fトライアドの5thから3rdをクロマチックで繋いだブルース・フレーズで2オクターブ下降。
これもアッパー・ストラクチャーの考え方です。
メジャーKeyの場合、サブドミナントのコードの上でⅠメジャーのトライアドを使ったブルース・フレーズを弾くとブルージーなのにテンション感が出ます。
もちろんブルー・ノートも装飾音符や経過音として入れ込むのは必須です。
この手法はネオ・ソウル系のジャンルなど、オシャレ・ペンタ・フレーズがハマる場面では効果が絶大だと思いますよ!

《 サブドミナントから見たⅠトライアドの度数 》

Ⅱm7 → ♭7th 9th 11th
Ⅳ△7 → 5th △7th 9th

16小節目 C7

フレーズの流れからオルタード系は避けてFマイナー・ペンタにリーディング・ノート(E)をプラスしたものでブルージーに切り抜ける。

「ソロのアプローチ(Bセクション 1~4小節目)」

1小節目 F△7

ここもブルージーに弾きたいので△7thは避け、6thをハモリであるトップ・ノートにしてます。
メロディーになる2ndノートにはブルー・ノートを装飾に使い、3rdから4thに行って3rdに戻る定石のラインを弾いてます。

2小節目 E♭7

ハモリであるトップ・ノートにはRootを使用し、2ndノートが5thから6thに落ち着く動きのメロディーです。
このフレーズはコードから見ると豊かな響きではありませんが、主音から見るとブルージーな音使いになってます。
Rootと6thのハモリを主音からみる♭7thと5thです。
今回は前の小節の流れからコードに対するハーモニーの豊かさより、調性からみたブルージーな雰囲気を優先したので、この音使いを選択しました。

3小節目 Am7(♭5)

アッパー・ストラクチャーの考え方を使って♭3rd(C)からのm(add9)を意識したフレージングで11thを強調してます。(Lesson 7)を参照。

Cm(add9)をAm7(♭5)からみると
♭3rd 11th ♭5th ♭7thです。

m(add9)の9thを強調するフレージングを弾くと実際にはm7(♭5)の11thを強調していることになります。
なお、m(add9)に対して△7thを経過音で使うと、m7(♭5)から見て9thの音になるので少し浮遊感のあるフレーズになり現代的です。

(Lesson 7)

4小節目 D7

1~2拍目はE♭m△7の分散和音を弾いてD7(♭9 ♭13)を表現してます。
これまたアッパー・ストラクチャーです。
3~4拍目はダブル・クロマチック・アプローチの常套フレーズで次のコードの5thへ向かってます。

「ソロのアプローチ(Bセクション 5~8小節目)」

5小節目 Gm7

5thに解決。
△7thから9thへ着地。
m7コードで9thをターゲットにする場合の△7thをアプローチ・ノートに使うのは定石です。

6小節目 Gm7

リズミックに♭7thから5thまでクロマチックで降りてGmの分散和音を2音目から急にオクターブ下がるパターンで弾く。
コード通りでハーモニー的な面白さはないが、次の小節のフレーズの布石になってます。

7小節目 B♭m7

前の小節のフレーズを、そのまま2度下げてFmの分散和音を弾いてます。
これはB♭m7の5th ♭7th 9thで作られたアッパー・ストラクチャー・トライアドです。
そして5thからクロマチクッで次のコードの3rdへ。

ここではサブドミナント・マイナーの特性音(主音から見て♭6thの音)を弾いていないので、どちらかと言うとBlues寄りのマイナー感になってます。
いかにもサブドミナント・マイナー感を演出したい場合は特性音をフレーズに入れてやると良いでしょう。
また特性音をターゲット・ノートにするか、経過音として使うかでフレーズの雰囲気も変わりますよ。(Lesson 8)を参照。

(Lesson 8)

他にもブルージーに攻める時のターゲット・ノートと経過音の選び方など、自分の出したいサウンドや曲調に合わせたサブドミナント・マイナーの攻略法は色々ありますよ。
詳しく知りたい方は是非オトノミチシルベに入会してレッスンを受けに来て下さい!!

8小節目 E♭7

この小節のフレーズはコード・トーンとクロマチックだけで構成されてます。
まず1拍目裏に3rd。
そしてRoot → ♭7th → 5thからクロマチックで下降して3rdへ着地。

「ソロのアプローチ(Bセクション 9~12小節目)」

さて、ソロも架橋に入ったので16分音符を使った速いパッセージも使っていきます。

9小節目 Am7

1拍目
♭7thから5thへ向かってクロマチックで下降。
2拍目
5thを強調しただけのスケール・ライクなフレーズ。
3拍目
ダブル・クロマチックで♭3rdへ着地してRoot。
4拍目
ここはアウフタクトの感覚で弾いているので次の小節のコードであるDm7を意識してます。
2音のアプローチ・ノートで挟み♭3rdへ。
そしてアッパー・ストラクチャーの考え方を使って♭3rdからの△7の分散和音を弾き始める。

10小節目 Dm7

1拍目
△7の分散和音の続きを弾いて、ダブル・クロマチックを使って♭3rdへ。
2拍目
♭3rdに着地。

9~10小節の詳細は(Lesson 9)を参照。

(Lesson 9)

11~12小節目 Bm7(♭5) B♭7

この2小節はAm7へ向かうドミナント系のフレーズを弾くのが常套手段ですが、今回はブルージーに攻めてみました。

Bm7(♭5)を転回すると → Dm6
B♭9のアッパー・ストラクチャーは → Dm7(♭5)

よって
Bm7(♭5) → Dマイナー・ペンタ
B♭7 → Dマイナー・ペンタ+♭5(ブルー・ノート)

を使ってブルース・フレーズを弾くことができます。
ただしB♭7でDマイナー・ペンタのナチュラル5thは弾かないよう注意が必要です。

「ソロのアプローチ(Bセクション 13~15小節目)」

13小節目 Am7 Dm7

Am7の5thに着地。
2拍目裏からはDm7のRootをペダルにして♭3rdから上昇する。

14小節目 Gm7 C7
1~2拍目はアッパー・ストラクチャーでGm7の♭3rd(B♭)からの△7の分散和音を弾いています。
3~4拍目はクロマチック・アプローチで3rdへ向かい、そこからdimの分散和音を上昇、これもアッパー・ストラクチャーです。

15小節目 F△7
1拍目はCオルタードを弾いて2拍目でF△7の9thに解決してます。
これはディレイド・リゾルブって手法です。

「最後に」

これまで解説された事を意識しながらフレーズを弾いてみましょう。
意図のあるフレーズの作り方やコードとスケールの両方から見たハーモーニーの感覚が身に付くと思います。
お手本と一緒に練習したい人は、是非アプリ入れてみて下さいね。

PhraseStockには今回のようなジャズ・スタンダードのソロ以外にも色々あります。
基礎的なテクニックの練習用のものからNeo Soul,Rock,Blues,Funk,Jazz,Latin,Fusionなどオール・ジャンルのフレーズが満載です。
スケールやコード・トーンの表示機能もあり、テンポも自由に変えられるので指板上の音の理解や難しいフレーズの練習にも向いていると思います。

次回『PhraseStock』連動ブログ第4回ではネオ・ソウルのスタイルで弾く「Feel Like Makin’ Love」を解説する予定です。
楽しみにしておいて下さい。

目見田 光

15才からギターを始め、96年九州芸術音楽学院ギター講師就任と同時にプロ活動を開始。

大森明、小畑和彦、川崎哲平、中村あゆみ、日野"JINO"賢二、村田隆行(あいうえお順 敬称略)など多数のトップ・ミュージシャンとのライブやレコーディング、CMやゲームの音楽制作と幅広く音楽活動を続けている。

またロックやジャズ、フュージョンなど様々なジャンルに精通したオールラウンドな演奏スタイルを持つ数少ないギタリストである。

現在では演奏以外にもアレンジ、プログラミング、など活動の場を広げ活躍中。

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