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『キモチはオトに、変えられる』プロミュージシャン直伝の音楽教室
『キモチはオトに、変えられる』

プロミュージシャン直伝の音楽教室

しのぴ先生のドラムテック道 【② 良い音と悪い音の違いとは?】

はじめに

みなさんこんにちは。ドラム講師のしのぴです!!

前回のブログ、たくさんの方にご覧頂けたようで大変嬉しく思います。

今回は、ドラムをチューニングするうえでとても大切な『ドラムの良い音・悪い音』の違いについて私なりの解釈をお伝え出来ればと思います。『良い音・悪い音』の基準が自分の中に出来上がれば、チューニングの方向性も自ずと決まってくるので、今回の記事が皆さんのサウンドメイクの参考になればとても嬉しく思います!

ドラムの『良い音』とは?

何を『良い音』とするかの定義はジャンルなどによって様々ですが、基本的には「演奏していて気持ち良い・聴いていて気持ち良い音」という認識で間違いないと思います。(いきなり感覚的な話で恐縮です)

好き嫌いの範囲にはなってしまいますが、大体気持ちいいとされる音はジャンルごとにある程度傾向があります。

具体的に項目を挙げると、アンサンブルの中で

・一つ一つのタイコが分離している

・タイコ同士が共鳴しすぎていない

・ダイナミクス(音量の大小)がつけられる

・他のパートの楽器を打ち消していない

と言った要素を満たしているものが、『良い音』と呼ばれているように感じます。

ダイナミクスはタッチでも大きく変わる要素なので、タッチそのものの精度を上げることも大事ですが、チューニングによってはタイコが持つダイナミクスの幅をコントロールできたりもします。タッチとチューニング、両方のアプローチでダイナミクスを考慮できるとより幅広く演奏に表情がつけられます。



しのぴ的『良い音』のドラムセット演奏

では反対に『悪い音』とは?

良い音 に比べるとこちらは具体例が出しやすいです笑


・タイコ同士が共鳴しすぎている

キックを踏んだだけなのにフロアタムが鳴ったり、ハイタムを鳴らすとスナッピーが鳴るといった現象です。多少の共鳴は問題ありませんが、耳障りになるほどの共鳴はアンサンブルにも良くありません。


共鳴しすぎなドラムセット演奏

・タイコの分離が良くない

タイコ同士の共鳴は少なくても、大きさの近いタム(12・13インチのタムなど)で音程差がしっかりついていないことがあります。音程差が充分に確保できていないと、タム回しで立体感を出しづらくなる等の問題を生む可能性があります。


・必要なダイナミクスの幅が得られない

スネアがわかりやすいですが、ピッチを下げすぎたり上げすぎたりすると、そもそものダイナミクスの幅が狭くなります。(ミュートをしすぎても同じ現象が起こります)

意図してそのようなセッティングにすることもありますが、何事もほどほどが良いですね!


・他のパートの邪魔をしてしまう音

音量が控えめな楽器とのアンサンブルや、小さい音での演奏が求められる場面でパワフルな音色は場違いとなってしまうことがあります。ちなみにこういった時にも上記のミュートをうまく活用したりします。


・ショットした後に不自然な余韻が残る

叩いた後にもう一度音量のピークが来るような、尻上がりのタムの音を聴いたことある人もいるかと思います。サスティンが思いの外伸びてしまうのもこの例です。



不自然な余韻があるタムの音

スタジオのドラムが抱える問題について

「良い音で演奏したい」とは思ってもなかなか自分のドラムセットは持ちにくく、スタジオのドラ

ムを叩く方がほとんどかと思います。

管理が行き届いているスタジオもありますが、スタジオによってドラムの状態はまちまち。
しのぴが過去に使用したスタジオのドラムには主に以下のような問題点がありました。

①ヘッドがヘタっている

②フロアのサステインが伸び過ぎている

③ハイタムのピッチが高すぎる

④フープやヘッド、シェルなどが歪んでいる

⑤キックやタム類のヘッドがベロベロ(テンションがほぼ0)にされている

①はヘッドさえ変えれば解決しますがヘッドだけを持ち込むのは現実的ではありません。

④は致命的な問題なので修理や買い替えが必要となります。(=諦めるしかない)

②、③、⑤については出したい音のチューニングが分かればある程度解決できます。

⑤については「アタック音を出したい」と言う意図でやる人も多いですが、ゆるすぎるテンションはヘッドが破れる原因にもなり、音としても良くはありません。「コントロールできる問題点」と「すぐに解決できない問題点」を整理することで、目の前の環境や条件に合わせて最適なサウンドメイクを心がけるのが重要です。

目で見て分かる『悪い音』の原因と対策(セルフチェック)

ヘッドのテンション以外でも、目で見て確認できるマイナス要素もあります。

以下の問題点もしのぴがスタジオに入ってすぐに気がついたことがあるものです。


・スナッピーが曲がっている
└スナッピーのスイッチを入れた時に真っ直ぐになるように付け直すとよいです。

・フープやヘッドが綺麗にはまっていない
└ドラムはシェル・フープ(リム)・ヘッドと3つの円が重なる構成です。この3つの円が綺麗に重なるようにはめ直すことで、ヘッドにテンションが均等にかかりやすくなります。

・バスドラムが床にベタ付けになっている
└バスドラムの足の長さや角度を調整することで解決します。フロント側が床から2~3cm浮くくらいが良いです。

・金具やタイコ同士が当たっている
└タムやスネアで起こりやすいです。タイコ同士の距離感に気をつけ、セッティングを見直しましょう。

・スネアがスタンドのアームに乗っていない
└スタンドのハイタム側のアームがスネアのボトムヘッドに触れてしまっていることがあります。意外と気づかないので、鳴りが不自然なときは確認してみましょう。


最後に

レッスンをしていると、最近カバーバンドを組む生徒さんが増えてきました。

カバーするアーティストやバンドの曲、自分がカバーしていて楽しい曲なんかを参考にスネアドラムの音だけでも真似してみるのは大変勉強になると思います。

ジャンルごとに音の傾向はあると言ったものの、プロアマ問わず『好き・嫌い』といった感情は、演奏の上でもとてもエネルギーのある要素です。

「演奏していて楽しい・良い演奏だった」と思えたら、なぜ楽しいか?なぜ良かったか?をドラムの音色の目線からも考えてみてはどうでしょうか。

この記事でチューニングやドラムテックの仕事に興味を持っていただけたら、先日公開した「スタジオのドラムをワンランク上のサウンドにする方法!」も見てみてくださいね!

次回は「ヘッドの種類」についてお話しする予定なので、お楽しみに〜!

しのぴ

00年代のロキノン系から影響を受けたのち、MI入学をきっかけに小山高弘氏、本間修治氏からドラムを教わる。在学中にオーディションに受かりチャン・グンソクJAPANツアーに参加する。 卒業後プロキャリアをスタート、Music schoolオトノミチシルベ・ESP Music Schoolのドラム講師となる。 東京都品川区のCrunch Studioのレコーディングドラムテックとして業務提携。 主な経歴 2018年 ドラマー西田竜一氏(Gackt,LOUDNESSサポート)のドラムテック・ローディを務める。 2019年 SHOW-YA「SHOWDOWN」アルバムレコーディングにドラムテックで参加。シンガーソングライター中原清文(ex.中原くん)ドラムサポート。 2021年 小林私のワンマンライブドラムサポート。wotaku feat.可不「コールドケース」ドラムレコーディングに参加。 2022年 YoutuberドラマーYOYOKAのドラムチューナーとなり、以降コラボ動画収録やライブにてドラムチューニングを担当。 ゲーム音楽作曲家のヨナオケイシ氏のライブでドラムサポート。以降もサポートを続ける。 2023年 江頭2:50氏が歌う赤城乳業CMソング「ガツン、と!!!」にドラムレコーディングで参加。 作曲家TAMAYO氏のユニットBETTA FLASHのライブでドラムサポート。
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