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『キモチはオトに、変えられる』プロミュージシャン直伝の音楽教室
『キモチはオトに、変えられる』

プロミュージシャン直伝の音楽教室

しのぴ先生のドラムテック道 【① ドラムをチューニングする意味って?】

はじめに

みなさんはじめまして、ドラム講師のしのぴです!!

突然ですが

みなさんはこんなボロボロになったスネアをみたことはありませんか?


このスネア、こんな音なんですけどどう思いますか?


ボワボワするし、見た目のとおり明らかに具合が悪そうな音ですよね?

もしスタジオのドラムでも綺麗な音に整えられたり、自分のスネアがチューニングまでできたらテンション

上がると思いませんか?

というわけで本日から『しのぴのドラムチューニング道』と称して、ドラマー、ドラム講師、ドラムの調律師(ドラムテック)としても多くの現場で経験を積んだワタクシしのぴが数回に渡り、動画やブログでドラムのチューニングの重要性やノウハウ、やり方について紹介する企画をスタートさせて頂きます!

チューニングとの出会い〜ドラムテックへ

何も知らなかった高校時代

高校生からドラムをはじめたしのぴ少年。超田舎で暮らしていたことが幸いし、自宅で生ドラムが叩けました。

生ドラムを叩けばCDのようなカッコいい音が出ると思い込み、タッチに強弱をつけたり見よう見まねでヘッドにガムテープを貼ってみたりテンションボルトを回す以外にもセットをいじくり回す日々に明け暮れていました。

サウンドのキレが欲しくて、友達にハイハットのボトムにドリルで穴を開けてもらったのも良い思い出です笑

しかし!!

いくら頑張ってもCDのようなカッコいい音は出ず

後にCDから聴こえてくるドラムの音は、録音してからミックスという編集作業を経て作られた音と知るのですが、この時の試行錯誤がしのぴとチューニングとの出会いでした。

音楽学校を卒業した後はドラムの構造を知るべく、スネアドラムの自作にもチャレンジしました。

突然 LOUDNESSのドラムテック・ローディに!!

とあるスタジオのレコーディングエンジニアさんが、曲ごとにチューニングや細工を施すしのぴをみて

『ウチのスタジオでテックやらない?』

と声を掛けて下さったことがきっかけとなり、ドラムテック・しのぴが誕生します。

(ドラムの調律師のことを『ドラムテック』と呼びます)

そしてそのスタジオをきっかけに知り合った大先輩の某ドラマーさんから、現場に来てほしいと誘いを受け(感謝)、数件現場を共にした後、突如連れて行かれた現場がまさかのLOUDNESS!!

求められるクオリティとスピード感についていくのに必死になる日々の始まりです。

テック歴6年で100タイコ以上を調律

突然世界でもトップレベルのミュージシャンが集まる現場に飛び込むこととなり、様々なサウンドや機材につい

て研究をしまくることとなるしのぴ。

それらの経験のおかげでたくさんの方に現場に呼んでいただき現在に至るまで、テック歴は約6年、チューニングしたタイコは100種類以上です。

ドラムは人々のハートを震わせ、人々を踊らせるために進化してきた楽器です。

『何がハートを震わせるのか?何が人を踊らせるのか?』

この問いに対するアンサーを求め、しのぴは日々ドラムの音色を作り、ドラムテックや演奏に従事しています。

ドラムという楽器はとても繊細で、温度・湿度・部屋の広さや天井の高さ・スティックやヘッド(皮)の種類etc…

音と干渉する要素を挙げたらキリがありません。

これらを味方につけるか?目的に合わない要素として削るか?をコントロールし、楽曲やプレイヤーにマッチ

したサウンドが生まれた瞬間はドラムテックにしか味わえない感動があります。

ライブでも自分がチューニングしたドラムの音で数千人・数万人が目の前で拳を振り、歓声を上げ踊る光景は

何にも代えがたいです。

チューニングの目的

チューニングの目的は出したいサウンドを作り、尚且つ楽曲やアンサンブルに合わせドラムを最適化させて鳴らすことです。

チューニングを成立させたり上達するには、何よりも「出したいサウンド」のイメージが必要です。

このイメージを持つことがチューニングのスタートラインとなり、最も重要な要素でもあります。

その上で、どこで・どんなドラムを・どのように鳴らすか?

といった環境や楽器の特徴、楽曲のコンセプトやプレイヤーのスタイルなどを加味しながら出したいサウンドを

目指します。

具体的にドラムセットのチューニングでは、以下のことに注目してサウンドメイクをします。

①共鳴を整える・少なくする

ドラムは複数の楽器の集合体、どうしても一つタイコを鳴らすと他のタイコが鳴ってしまいます。

ハイタムを鳴らすとスネアのスナッピーも鳴る、という現象が最たる例です。

ある程度鳴ってしまうのは仕方ないですが、共鳴そのものを綺麗に整えたり、少なくするのが非常に重要で

す。

②タイコ一つ一つの粒立ちをハッキリさせる

それぞれのタイコに合わせたピッチを明確に作ることで音の粒がハッキリと分離します。

点数の多いドラムセット、音数の多い楽曲では特に分離の良いサウンドが大事です。

また、サスティン(音の長さ・余韻)を必要以上に伸ばさず、減衰させることもチューニング次第で可能になります。

これらを満たすことで、自分が出している音がくっきりとわかるようになります。

③楽曲やプレイヤーに合わせたサウンドメイク

打楽器の音色は楽曲の雰囲気、特にスピード感を決める上でとても比重の多い楽器です。

キレや明るさのあるサウンドで疾走感を演出したり、余韻を長くしたり温かみのあるサウンドでゆったりした雰

囲気を表現できます。

明瞭なサウンドもぼんやりしたサウンドも、楽曲のコンセプトに合わせて意図して使うことができます。

こういった様々なグルーヴは、ドラムの音色無しには語れないことが多いです。

また、ドラムはバスドラからシンバルまでの音域と全体の音量のレンジが非常に広い楽器です。

音色や音量によっては他のパートと被って邪魔をしてしまいます。

それらの邪魔をせず、むしろ他パートを後押しするようなサウンドメイクができれば、よりアンサンブルに厚み

を加えることができます。

④そもそもドラムはチューニングする前提で作られている

ビンテージ楽器を扱っている人や、ビンテージ楽器を当時リアルタイムで扱ってきた人たちからすると、『チューニングは難しい』と感じている人は多いと思います。

なぜなら、ビンテージのドラムは現代のモデルほどチューニングに対して繊細に反応する作りでなかったり、当時日本に輸入された楽器は劣化したものも多かったと聞いています。

これらがチューニングに対して「難しい」というイメージを定着させた原因で、その印象が語り継がれ、継承されてきた可能性も否定できません。

しかし現在のドラムは実はそうではありません。

ボルトのテンションはしっかりヘッドに伝わり、様々な環境要因による音質変化を減らせるように開発されてい

ます。

「出したい音」さえ分かれば、マッチしたコンセプトの機材を選びチューニングによって最大限に生かすことが

できます。

と、いうわけで今回は本シリーズの大前提となる『ドラムをチューニングする意味』について語らせて頂きました。

次回はチューニングのやり方や基礎について執筆予定ですので、どうぞお楽しみに!

しのぴ

00年代のロキノン系から影響を受けたのち、MI入学をきっかけに小山高弘氏、本間修治氏からドラムを教わる。在学中にオーディションに受かりチャン・グンソクJAPANツアーに参加する。 卒業後プロキャリアをスタート、Music schoolオトノミチシルベ・ESP Music Schoolのドラム講師となる。 東京都品川区のCrunch Studioのレコーディングドラムテックとして業務提携。 主な経歴 2018年 ドラマー西田竜一氏(Gackt,LOUDNESSサポート)のドラムテック・ローディを務める。 2019年 SHOW-YA「SHOWDOWN」アルバムレコーディングにドラムテックで参加。シンガーソングライター中原清文(ex.中原くん)ドラムサポート。 2021年 小林私のワンマンライブドラムサポート。wotaku feat.可不「コールドケース」ドラムレコーディングに参加。 2022年 YoutuberドラマーYOYOKAのドラムチューナーとなり、以降コラボ動画収録やライブにてドラムチューニングを担当。 ゲーム音楽作曲家のヨナオケイシ氏のライブでドラムサポート。以降もサポートを続ける。 2023年 江頭2:50氏が歌う赤城乳業CMソング「ガツン、と!!!」にドラムレコーディングで参加。 作曲家TAMAYO氏のユニットBETTA FLASHのライブでドラムサポート。
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