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『キモチはオトに、変えられる』プロミュージシャン直伝の音楽教室
『キモチはオトに、変えられる』

プロミュージシャン直伝の音楽教室

【アプリ連動!】「枯葉」をブルージー且つオシャレに弾きこなすドラマチックなフレージングを完全解説

こんにちは!オトノミチシルベギター講師の目見田光です。
今回から始まる『PhraseStock』連動ブログの記念すべき第1回は「枯葉(Autumn Leaves)」を題材にしてみました。
この「枯葉(Autumn Leaves)」のコード進行には音楽理論の基礎が詰まっているのでJazz以外の楽曲にも多用されています。
有名なところではサンタナのEuropaやゲイリー・ムーアのStill Got the Bluesとかですかね。
この有名な進行に対してコードの響きやスケールなどから見た効果的なフレーズの作り方を完全解説していくので、是非ギターソロの参考にして下さい!

アプリ『PhraseStock』のご紹介

『PhraseStock』は プロギタリスト監修のフレーズ練習アプリ。楽譜はもちろん、プロによるお手本動画やリアルタイムで押弦ポジションが表示されたりと様々な機能でフレーズ習得をサポート!

本記事で紹介されている『枯葉(Autmn Leaves)』のフレーズはオトノミチシルベ 福岡エリアのギター講師 目見田光 先生による考案
アプリ『PhraseStock』にも収録されていますので、アプリとブログの併用でよりフレーズへの理解が深まります!

さっそく始めましょう!

まずはリードシートを見ながらコードを弾いて進行を確認しましょう。

「コード進行解析(Aセクション)」

Aセクションは基本的にトニックであるB♭△7とGm7へのⅡ-Ⅴで構成された進行です。
1括弧の部分にはCm7に対してのセコンダリー・ドミナント7thコードであるG7が導入されており、リピートしたくなる雰囲気を演出しています。

この楽曲の調性はマイナーですが1〜4小節目をGマイナーの平行調であるB♭メジャーのKeyと解釈し、5小節目からがGマイナーのKeyと考えた方が弾きやすいかもしれませんね。

「コード進行解析(Bセクション)」

Bセクションの最初8小節はAセクションの1〜4小節目と5〜8小節目が逆になっただけの進行です。

残りの8小節を見てみましょう。
まずはGm7へのマイナーⅡ-Ⅴが2小節。
次は解決したGm7から下段のE♭△7へ向かう2拍ずつのⅡ-Ⅴの連続になってる進行です。
ここはソロを弾く時に腕の見せ所になりますね。
是非ともカッコイイⅡ-Ⅴフレーズでバシッと決めたいところです。
そして最後は2拍ずつのマイナーⅡ-ⅤでGm7に解決して終わりです。

「ソロのアプローチ(Aセクション1回し目 1〜4小節目)」

いよいよ本題のソロのフレーズです!
まずはピックアップ・フレーズ1小節+4小節を、それ以降は4小節ずつTAB譜を載せて解説していきます。

上段がピックアップ部分で、1小節のブレイクなどに有効なフレーズとなってます。
ピックアップはアドリブの導入などに使われる手法でソリストの見せ場です。
しかし、それだけではなく「今から、こんな方向性のソロを弾くよ。」とか「自分は、こんなスタイルの演奏者ですよ。」などと聴き手に向けて宣言をしているような重要な場面だと私は考えています。
まぁ、宣言の内容は自由なので自己紹介とか名刺代わりと考えて「俺は、こんなにテクがあるぜ〜!」とかでも良いかもしれません(笑)。

それでピックアップについてですが、大きく分けて

①次の小節のコードへのドミナント・フレーズ
②ブルース系のフレーズ
③スケール・アウトしたフレーズ

の3つの手法があります。

今回のソロのコンセプトは「ブルージー且つオシャレに弾きこなすドラマチックなソロ」です。
もちろん②を選択します。
このフレーズはGマイナー・ペンタトニック・スケール+ブルー・ノート(♭5th)を下降していくだけのシンプルなものです。
しかし2拍目裏から入り3拍目にトリル、4拍目に3連符を使うなど譜割を工夫する事でフレーズに躍動感を与えています。

では下段のフレーズを見ていきましょう。

1小節目 Cm7

ピックアップからの流れでGマイナー・ペンタを弾いてるだけに見せて、ちゃんとコード・トーンにアプローチしてます。
1拍目〜3拍目で出てくる音(GとB♭)はGmペンタのRootと♭3rdですがCm7から見ると5thと♭7thです。
これはCm7(9.11)の5th ♭7th 9th 11thを見るとGm7になるというアッパー・ストラクチャーの考えを使ってます。
詳しくは(EX.1)を参照。
このようにⅣm7の上でⅠm7の分散和音を意識して弾くと9thや11thが表現できるという事です。
またⅠm7の構成音に1音プラスするとⅠマイナー・ペンタトニック・スケールになります。
結局Ⅳm7(9.11)では、そのKeyのマイナー・ペンタが有用って事ですね。
この手法はNeo SoulやPopsなどのソロでオシャレな響きのブルージー且つキャッチーなフレーズを作る時にメチャメチャ役立ちます。
詳しくは『PhraseStock』連動ブログ第4回で題材として取り上げる「Feel Like Makin’ Love」で詳しく解説する予定です。

(EX.1)

2小節目 F7

ここでもアッパー・ストラクチャーの考えを使ってF7の3rdからdimの分散和音を弾いてます。
表現されるサウンドはF7(♭9th)です。

3小節目 B♭△7

3rdにシンコペーションでアプローチして5thへ向かう。
今回のコンセプトにブルージーがあるのでGマイナー・ペンタに含まれない△7thは避けて6thを経過音に選んでます。

4小節目 E♭△7

先程の3小節目と違い、こっちは絶対に△7thを選びます!
△7は主音(G)から見ると5thになるので半音下のブルー・ノート(♭5th)からクロマチックでアプローチすると効果的です。
このようにコードと主音の両方から度数を見る事が重要になります。
ソロを弾く時にターゲットとして選んだ音の響きはコードのRootからの度数で決まりますが、フレーズの色合いとか雰囲気が決まるのは主音からの度数です!
この小節のフレーズはブルージーなのに響きはオシャレに聴こえると思います。
試しに、このフレーズをB♭7の上で弾いてみて下さい。
ただただブルージーなだけでオシャレさは欠片も無いでしょう・・・。

「ソロのアプローチ(Aセクション1回し目 5〜8小節目)」

5小節目 Am7(♭5)

また出ました。一見、ペンタ弾いてるだけに見せてメチャメチャ考えてる奏法!
Gマイナー・ペンタをRootから始め、5thからブルー・ノートを経過して11thにいっただけに見えますがAm7(♭5)から見ると♭7thから始めて♭3rdにクロマチック・アプローチをしたフレーズになってます。
4拍目裏に弾いている♭7thは次のコードの3rdに行く為のアウフタクトです。

コード進行が4度進行の場合は前後のコードの3度と7度は近い距離にあるという法則があります。

Ⅱ-Ⅴ型の進行では
Ⅱm7の♭3rdとⅤ7の♭7thは同じ音
Ⅱm7の♭7thの半音下にⅤ7の3rdがある

当然このルールはマイナーⅡ-Ⅴでも同じになります。
これを覚えておくと便利ですよ。
指板上どこのポジションで弾いても、この法則は変わらないですからね。

6小節目 D7

この辺りから、もう一つのコンセプトであるオシャレ感を出していきましょう。
フレーズはオルタード・スケールを上昇下降して次のコードの9thに解決する定型の物です。

7小節目 Gm7

9thから入ってます。
意識している分散和音はGm7の♭3rdであるB♭からの△7です。
またまたアッパー・ストラクチャーの考え方を使用してます。
そして3拍目は9thからRootへの2拍3連を使ったクロマチック・アプローチです。
是非レイドバックして弾きましょう。

8小節目 G7

ここは次のコードの♭3rdを目指して下降してくるだけです。
定型のフレーズですが最初の音を無くし、1拍目の頭が8分休符になる事でリズムにちょっとした変化を出しています。
使用しているスケールはGハーモニック・マイナー・パーフェクト5th・ビロウです。

「ソロのアプローチ(Aセクション2回し目 1〜4小節目)」

Aセクションの2回し目に突入します。

1小節目 Cm7

前半の2拍は歌い回しでトリルが入っているが♭3rd △7th 9th △7thと、ターゲットにしている3拍目のRootを上下で挟んだアプローチです。
このフレーズの△7thはRootに対してのクロマチックと考えます。
ターゲット・ノートを上下で挟んだアプローチをする場合、下の音にクロマチックを使のはJazzのフレージングでは度々ある事です。
3拍目以降はアッパー・ストラクチャーで♭3rdから△7の分散和音。
4拍目で3連符を使用し、Cm7の♭7thで終る事で次のコードの3度へとスムーズに繋げています。

2小節目 F7

オルタード・スケールを下降しているだけですが、音数を減らしてリズミックにする事で定型フレーズっぽさを消してメロディアスに聴かせる工夫をしています。

3小節目 B♭△7

1コーラス目と同じく△7thは避けて6thを経過音に選んでます。

4小節目 E♭△7

E♭△7の♭3rd 5th △7th で出来るGmのトライアドを意識してます。
ただGマイナーのブルース・フレーズを弾いているだけなのに響きはオシャレに聴こえるはずです。
この手法もNeo SoulやPopsなどでソロを弾く時に大活躍します!

「ソロのアプローチ(Aセクション2回し目 5〜8小節目)」

5小節目 Am7(♭5)

前の小節からシンコペーションしてターゲット・ノートである11thにアプローチしてます。
m7(♭5)コードの場合、11thと♭5thの間で△7thの響きが出来るので綺麗で刺激的です。

6小節目 D7

ここは安直にドミナント系のフレーズを弾きたくなる場面ですが、この後のBセクションがマイナーⅡ-Ⅴの進行から始まる事を考えて同じような雰囲気になるのを防ぐ為にグッと我慢。
Gマイナー・ペンタに、さり気なくリーディング・ノート(F#)を入れた大きなノリのブルース・フレーズでドッシリと攻めます。
音はD7からみるとRoot ♭7th ♭13th Root 3rd で次のコードGm7のRootに解決。

7〜8小節目 Gm7

Gマイナー・ペンタ+♭5thでブルージーに弾きます。
3連符を使ってジャズにトラディショナルなブルースの雰囲気を少しプラスするのを狙ってます。

「ソロのアプローチ(Bセクション 1〜4小節目)」

ソロをドラマチックに盛り上げる為にBセクションは16分音符を使った速いパッセージも入れていきます。

1小節目 Am7(♭5)

前半2拍はアッパー・ストラクチャーの考え方を使ってCmadd9の分散和音を弾き、Am7(♭5.11)を表現してます。
3拍目の9thと11thはターゲット・ノートである4拍目の♭3rdを上下で挟むアプローチです。
一応スケールはロクリアン#2ndになります。

2小節目 D7

まず5thから3rdへ向かい#9thへ飛ぶ。
この3rdから#9thへ△7thのインターバルを使った音の跳躍はドミナント・フレーズで度々使われます。

3小節目 Gm7

ターゲットの5thを上下で挟むアプローチ。

4小節目 G7

オルタード・スケールの16分音符を使った速いフレーズ。
最後はダブル・クロマチック・アプローチで次のコードであるCm7の5thへ向かう。

「ソロのアプローチ(Bセクション 5〜8小節目)」

5小節目 Cm7

1〜2拍目はGm7とB♭△7の分散和音を弾いてます。
m7コードの場合、このように5thからのm7→♭3rdからの△7の順番で分散和音を弾いて9thと11thを表現するのが常套手段です。
3〜4拍目は5thをペダルにして9thから次のコードのRootを目指し上昇するフレーズになってます。

6小節目 F7

Root→#9thをターゲット・ノートとしてオルタード・テンションを使ったフレージングで次のコードの5thを目指します。

少し音数の多い場面が続いたので、ここから3小節は音数を減らした大きなノリのフレーズです。
このように音の密度にコントラストをつける事で次に速いパッセージが出てきた時、よりスピード感を感じさる事ができます。

7小節目 B♭△7

シンコペーションで5thに解決。
3拍目裏の3rdから次の小節のコードであるE♭△7の5thを目指します。
使用しているスケールはGマイナー・ペンタです。

8小節目E♭△7

Gマイナー・ペンタで5thに着地。

「ソロのアプローチ(Bセクション 9〜12小節目)」

9小節目 Am7(♭5)

ここはマイナーⅡ-Ⅴを大きく捉えてD7が2小節続く進行のつもりで弾いてます。
1〜2拍目は11thを上下で挟んだアプローチで3〜4拍目は次の小節のコードであるD7の5thを上下で挟んだアプローチとも考えられるがAm7(♭5)の事は、あまり気にしてないです。

10小節目 D7

5thからシンコペーションで入りDaugの分散和音を下降し♭7thから5thへ。

11小節目 Gm7 C7

ここからの2小節はソロのクライマックス、16分音符を使ったフレーズが続きます。
速いパッセージでもスケールの上下運動に聴こえないよう工夫する事が大事です。
ここではクロマチック → スケール・ライク → 分散和音 → スケール・ライクと2拍ずつフレーズの種類を変えて弾いてます。

1〜2拍目、Gm7の部分はクロマチックを多用したフレージングです。
クロマチックを多用するとコード感は希薄になるが弦移動が少なくなって速いパッセージは弾きやすくなります。
1拍目は一応アッパー・ストラクチャーで♭3rdからの△7の分散を意識してます。
2拍目はC7の3rdへのダブル・クロマチック・アプローチ。

3〜4小節目のC7は定型のオルタードフレーズです。

12小節目 Fm7 B♭7

1〜2拍目、Fm7の部分はアッパー・ストラクチャーの考え方を使った分散和音を弾いています。
フレーズは5thからのm7→♭3rdからの△7の順番で弾く常套フレーズです。
速く弾けるようにスウィープ奏法が使えるポジションでフレーズを組み立ててます。

3〜4拍目のB♭7は次のコードの9thに解決する定型フレーズを弾いてます。
使用している・スケールはB♭ハーモニック・マイナー・パーフェクト5th・ビロウです。

「ソロのアプローチ(Bセクション 13〜15小節目)」

13小節目 E♭△7

9thに解決。
Gマイナー・ペンタ+♭5thでブルージーに次の小節へ。

14小節目 Am7(♭5) D7

ここはAm7(♭5) は無視して1小節D7と大きく捉えて弾いてます。
ターゲット・ノートは1拍目のRootと3拍目の3rdです。
2拍目で出てくる#9thはテンションというより3rdに向かう為の音でクロマチック的に捉えてます。

15小節目 Gm7

シンコペーションでRootに解決。

「最後に」

これまで解説された事を意識しながらフレーズを弾いてみましょう。

意図のあるフレーズの作り方やコードとスケールの両方から見たハーモーニーの感覚が身に付くと思います。

お手本と一緒に練習したい人は、是非アプリ入れてみて下さいね。

PhraseStock

PhraseStockには今回のようなジャズ・スタンダードのソロ以外にも色々あります。

基礎的なテクニックの練習用のものからNeo Soul,Rock,Blues,Funk,Jazz,Latin,Fusionなどオール・ジャンルのフレーズが満載です。

スケールやコード・トーンの表示機能もあり、テンポも自由に変えられるので指板上の音の理解や難しいフレーズの練習にも向いていると思います。

次回『PhraseStock』連動ブログ第2回では「Spain」を採り上げる予定です。

楽しみにしておいて下さい。

目見田 光

15才からギターを始め、96年九州芸術音楽学院ギター講師就任と同時にプロ活動を開始。

大森明、小畑和彦、川崎哲平、中村あゆみ、日野"JINO"賢二、村田隆行(あいうえお順 敬称略)など多数のトップ・ミュージシャンとのライブやレコーディング、CMやゲームの音楽制作と幅広く音楽活動を続けている。

またロックやジャズ、フュージョンなど様々なジャンルに精通したオールラウンドな演奏スタイルを持つ数少ないギタリストである。

現在では演奏以外にもアレンジ、プログラミング、など活動の場を広げ活躍中。

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