Randy Rhoadsが愛される理由〜経歴&機材紹介編〜
こんにちは!オトノミチシルベギター講師の西山昌一郎です。
2022年11月11日より、遂にギタリスト、ランディ・ローズの映画「Reflections of A Guitar Icon Randy Rhoads」(邦題「ランディ・ローズ」)が全国ロードショーされます。
自分も果たしてどんな内容なのか首を長くして心待ちにしている一人です!!
今回機会を頂き、とっても個人的な観点からランディ・ローズについて語らせて頂きます。
彼がどうして歴史に名を残すギタリストと呼ばれるのか、奏法や理論などギタリストならではの解説も入れられればと思います。
ランディの経歴
1956年12月6日生まれ、
本名Randall Willam Rhoads(ランドール・ウィリアム・ローズ)
8歳の頃からクラシックギターでギターを手にする。
1973年、Quiet Riot(クワイエット・ライオット)を結成、LAのローカルバンドであったそうだが、本国アメリカより先に、ハードロック全盛期であった日本でアルバムデビューしている。
実は日本に縁があったのだ。
その頃のプレイは「The Randy Rhoads Years」で聞くことが出来ます。
Amazon | The Randy Rhoads Years | Quiet Riot | ハードロック | ミュージック
「Trouble」「Laughing Gas」などは割とその後のプレイスタイルと近いですが、その後の完成されたランディのプレイを聞いてしまうと確かにこの頃は普通のハードロック系ギタリストな感じがする・・。
ただ「Afterglow(Of Your Love)」ではランディの貴重な12弦アコギも聞けるので、マニアの方は押さえておきたい。
1979年の秋、ブラックサバスを解雇されたOzzyOsbouneが、LAにてソロプロジェクトのバンドオーディションを行っていた。
そこに他薦を受けたランディが参加することになるのだが、第一印象は
シャロン(Ozzyの妻で当時からのマネージャー)
「部屋に入ってきた瞬間、この子ドラッグをやっているな、とピンときたわ」
Ozzy
「初めて見た時、華奢で同性愛者だと思った」
という言われようである笑
基本的にドラッグで四六時中ぶっ飛んでいたOzzyですが、ランディが部屋に入って来てギターを弾き始めると、そのプレイの素晴らしさにシラフに戻ってしまったそう。
ともかく当時から知名度もあったジョージ・リンチなど猛者が参加したオーディションを見事勝ち抜いたのはランディでした。
1980年より、OzzyOsbouneバンドの一翼として2枚のアルバム、そしてツアーに帯同。
世界的なギターヒーローとしての地位を確立する。
1982年3月19日ツアー先のフロリダでセスナ機事故により死去。享年25歳という若さであった。
僅か2年ちょっとの間でランディ・ローズはLAのローカルから世界的なギタリストに成り、そして星に帰っていった。
素晴らしいプレイも然り、こういった激的な人生も相まって神格化されているギタリストなのです。
因みにその後OzzyOsbouneバンドのギタリスト選びは大変難航したという。
ゲイリー・ムーア、マイケル・シェンカーらが自ら手を挙げたが落選している。
そして、ランディ・ローズ → バーニー・トーメ → ブラッド・ギルス →ジェイク・E・リー → アレックス・スコルニック → ザック・ワイルド → ジョー・ホルムズ → ガス・G等々素晴らしいギタリスト達にプレイが引き継がれていく話はまたの機会に・・。
ランディを知る書物
凄くざっくりと書いたが、ランディの詳細なバイオグラフィー、Ozzyと一緒に演奏するようになる経緯、セスナ事故の真相についてなどは、既に多くのインターネット記事や雑誌、書物などに記載があり、このページに辿り着いた方ならご存じと思います。
その中でもお勧めなのが、
クワイエット・ライオット&Ozzyバンドで一緒だったベーシスト、
ルディ・サーゾ著
「Off The Rails」
オフ・ザ・レイルズ (BURRN BOOKS) | ルディ・サーゾ, 飯村 淳子 |本 | 通販 | Amazon
ジョエル・マクアイヴァー著
「ランディ・ローズ」
ランディ・ローズ | ジョエル・マクアイヴァー, 有馬 さとこ |本 | 通販 | Amazon
これらを読めばランディの優しい性格、Ozzy達と過ごした時間のこと、ランディがもし生きていたら、ギタリストとして今後何を成し遂げようとしていたのかが見えてくる素晴らしい読み物です。
因みに2021年、ランディは『Musical Excellence Award』を受賞しロックの殿堂入りを果たしています。
ランディのギター雑学
・1974レスポールホワイトの通説
ランディのギターと言えばレスポールカスタムホワイト!
通常1974年製というのが有力な説ですが、実はこのギター、正確な製造年が分かっていません。
本人が当時インタビューで「64年製だ」と言っているのですが、1964年GibsonはSGしか製造していません。
そもそも、レスポールカスタムの「ホワイト」がいつ頃から生産されるようになったのかが分かっておらず、1974年には確実に製造されていたという資料がある事から「1974年製である可能性が濃厚」という通説があるのです。実際は1970年代前半のモデルという事だけは判明しています。
まぁ、そういう自分もランディに憧れて、1974年のレスポールカスタムを大学生の時に買いました。(色はランディと被るのがプレイの未熟さ故恥ずかしく、黒にした笑)
因みにランディは、レスポールカスタムブラック3ピックアップも所有していましたが、それは1957年製と判明しています。
・ポルカ・ドットVはJackson製ではない
ランディのギターはどれも有名ですが、フライングVを挙げる方も多いと思います。
左右非対称となっているコンコルドヘッドのフライングV(白、黒の2カラー)は、LAのギター職人グローバー・ジャクソンが作っています。
白のモデルは、ランディの頭文字に引っかけたロールスロイスのロゴマーク「RR」がトラストロッドカバーに刻印されています。
ランディがギターの造形アイデアをスケッチしてグローバー・ジャクソン氏に渡しています。なので左右非対称のVは「RRV」(ランディ・ローズV)と呼ばれています。
今やすっかり有名になったこの型、実はランディが元祖なのです。
そして問題の左右対称、白黒ポルカ・ドットVですが、こちらはジャクソン製ではなく、カール・サンドヴァルというクラフツマンが組み上げたカスタムメイドギターです。
カール・サンドヴァルは日本では殆ど知られていませんが、ギタークラフト&リペアマンとして、ヴァン・ヘイレン、エアロスミス等と仕事をしている凄腕職人です。
・ランディの歪み
ザクザクした特徴的な歪み、この攻撃的な音色もランディの人気を決定づけた大きな要因だと思っています。
MXR Distortion+の使用は有名ですが、こちら使用方法を間違えると全くランディの音が出ません。
ランディのアンプはマーシャル1959 Super Lead Plexi 100Wで、それをカスケードモディファイ(アンプ内部でチャンネルリンク改造)し、ゲインアップして使っています。
なので推測にはなりますが、MXR Distortion+のゲインはさほど上がっていないはずです。当時のMXRは、現行機種より随分ザラつきがある歪みなので、その歪みキャラクターだけを付加して使用しているのだと思います。
ランディのパーソナルな部分、ギターや機材についてYOUNG GUITARが動画で取り上げているので是非こちらもご覧ください。
【特別復刻】ランディ・ローズ/RR伝説を訪ねて…(2018年初公開) – YouTube
人生で一番聴いてるアルバム
皆さんはパッと思いつきますか?何年・何十年経とうとも、音楽の趣味が変わろうとも未だに色褪せない最高の一枚です。
自分が「人生で一番聞いているアルバム」は何かと問われれば、高校2年の時から聞いている
Ozzy Osbourne『Tribute』
邦題『トリビュート〜ランディ・ローズに捧ぐ』
トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ – Wikipedia
と迷わずに答えます。
このアルバムは1981年カナダでのライブをシューティングしたもので、ボーナストラック的にスタジオテイクも収録されています。
Ozzy
「ランディが亡くなった後、とにかくそれを保留にしたかった」
と語っているように、Ozzyが彼の死を受け入れられず、リリースに難色を示したというのは有名なエピソードです。
ランディの死が1982年3月19日であったのに、『Tribute』が1987年3月19日の発売となったのには、そういった理由もあるそうです。
そしてこのアルバムリリースが1987年当時Ozzyバンドのギタリストであった、ジェイク・E・リーにとっては不満で、脱退(解任)原因になったとも言われていますが、後にジェイク自身がそれを否定しています。
いずれにせよ、このアルバムがもしリリースされてなかったら自分はギタリストになっていなかったかもしれません。それほど自分にとって特別な想い出が詰まった一枚です。当時、富山の楽器店で譜面を取り寄せて、アルバム全曲をギターでコピーした想い出が蘇ります。
このアルバムの聴きどころはズバリ、ランディの音色やプレイがめちゃくちゃエモいんです!
スタジオ音源では聞けない非常に荒々しい音色。そして良い意味で冷静でない、物凄い熱量を感じるギタープレイ。その熱さを以ってスタジオテイクのフレーズをなぞったり、ライブ特有の運指を展開してゆきます。
当時殆ど邦ロックしか聞いていなかった自分にとって、ギターをやっている先輩が「ギターめちゃくちゃカッコいい洋楽集テープ(時代を感じる・・笑)」を作ってくれて、その中にMr.Bigやエアロスミスと共に入っていたのが、このCDに収録されている「Mr. Crowley」でした。
よくある表現ですが、初めて聴いた時「ランディのギターにぶん殴られた!!」
この一言に尽きます。こんなにギターがカッコイイ音楽があったなんて・・。信じられない気持ちになりました。
今では殆ど無くなってしまったと思いますが、当時富山では年に数度だけ、都会にしか在庫が無いようなマニアックな中古CDやレコードをイベントスペースのようなところで雑に積み上げて販売するという、即売会が行われていました。
街のCDショップにはもう自分が欲しいCDはあまり置いていなかったので、自分はこの即売会の新聞チラシを楽しみにしていました。
そこでこの『Tribute』や、UFOやイングウェイのライブ盤、マニアックなプライベート盤を手に入れました。
インターネットが発達していない時代ならではですよね笑。
次回〜奏法&アプローチ編〜ではこのライブアルバム『Tribute』を中心に、ランディ・ローズのギタリストとしての素晴らしさや、ギタープレイの先駆者的アプローチについて語りたいと思っていますので、お楽しみに!
西山 昌一郎
オトノミチシルベ ギター科講師。
ギタリスト、アレンジャー。
リットーミュージック「ギター・マガジン」誌コンテスト「2016 Guitar Magazine Championship vol.9」 グランプリ受賞。2012準グランプリ受賞。
テレビやライブでの演奏系経も豊富です。 お子様から学生、社会人の方まで、生徒の皆さんから信頼の厚い講師です♪
アニメジャパンフェスティバルAJF NeoGeneration2013ハウスバンド、織田哲郎、マキタスポーツ(Fly or Die)、Kinki Kids、柊木りお、アキシブProject、GALETTe、ANNA☆S、渡辺宙明、堀江淳、五條真由美、チャン・リーメイ、マスダシマイ、asfi、sonymusic劇団ハーベスト、執事歌劇団Tact、ツートン青木、青木隆治、Voice、ユージソン、やないけいこ、金色のコルダ、アンジェリーク、三國無双、戦国無双シリーズ、楽器フェア2016JVC KENWOOD社デモンストレーター等々、レコーディング、アレンジ、コンサート、TV撮影等に参加。