【ベーシスト向け】低音が回ってしまう…そんな時に意識すべきポイントとは?
皆さんこんにちは。ベース講師の高原未奈です。
ベーシストの方で(ギタリストの方でもだと思いますが)、スタジオに入ってバンドで合わせた時に、
低音が地響きのように鳴る、いわゆる「低音がまわる」状態を経験した事がある方は多いのではないでしょうか?
自分の音は聞こえづらくなるし、
他のメンバーからもちょっと冷たい目で見られる(?)し、どうにかしたいところですよね。
低音が回ってしまうのは、特定の低域が飽和してしまっているからで、その原因は一つとも限りません。
そこで原因と対処法を、実践しやすい順にご紹介したいと思います!
原因① スタジオに大きな鏡がある
スタジオは壁の一面が鏡になっている事がほとんどだと思います。
鏡自体はライブパフォーマンスやフォームの確認のため、スタジオ設備として必要なものですが、音を反響させ低音が回る原因になっている場合があります。
対処法:カーテンを閉める
スタジオによりますが、そのような部屋にはカーテンが付いている場合があります(狭いスタジオは付いてない場合もありますが)。
メンバーがいない場所は閉める、もしくはライブの予定はなく音を合わせる事が目的であれば全部閉めてしまっても良いでしょう。
原因② ベースアンプを置いている場所が悪い
ベースアンプが鏡の正面を向いていると音が反響しやすくなります。
あとこれは低音が回るというより、ベーシストが自分の音を聞こえやすくする為ではありますが、
4発のキャビネット(正方形のタイプ)やコンボ型のベースアンプを床に直置きしていると
ベースの音が聞こえづらくなり、必要以上に音量を上げる必要が出て、結果的に低音が回りやすくなります。
対処法1:アンプの向きをずらす
もう少しベースの音をしっかり聴きたい…という場合には、やみくもにヴォリュームやゲインを上げる前に、自分やメンバーのいる方向にアンプのスピーカーを向けてみるだけで解決する場合もあります。
対処法2:アンプを床から離す
台の上に乗せたり、4発キャビネットならケースの上に乗せたりして位置を高くすると
耳の高さにアンプが近づくので、聞こえやすくなります。
原因③ マイクが低音を拾っている
コーラスをやるベーシストは、自分の声を拾っているマイクがベースの音を拾ってしまうことがあります。これも低音が回る原因になり得ます。
対処法:マイクのローをカットする
自分のコーラスマイクを繋いでいるミキサーのEQ(イコライザー)のLOWを少しカットする。
メインボーカルが女性であれば「メインボーカルのLOWも少しカットしても良い?」と聞いてみても良いでしょう(勝手にカットするのは喧嘩の元なのでやめましょう)。
ここまでは「あ、低音まわってるな」と思ったら割とすぐに出来る事なので、まずやってみてもらって、
それで解決したらOKですが、解決しないこともあるかと。
ここからはもっと繊細で、難しい調整になってきます。頑張って!
原因④ 他の楽器と合わせることで(もしくはベース単体で)特定の低域が飽和している
低域を出している楽器はベースだけでなく、ギターや、ドラムのバスドラムなどもあります。
まずはベースだけ、ベースとギターだけ、ベースとドラムだけ、ギターとドラムだけなど
それぞれで鳴らしてみて、どういう時に低音が回っているのか、原因を特定しましょう。
対処法:EQを調整する
ベースアンプのヘッドもしくはエフェクターのEQを使って、80Hzより下の帯域を下げてみましょう(一気にやらずに音を出しながら)。
よくスタジオに置いてあるAmpeg SVT-450Hで言うと、
グラフィックEQの40Hzをバッサリ、80Hzを少々下げ、BASSのつまみ(50Hzだそうです)も下げる、
といったように少しずつ調整してみましょう。
原因② ベースアンプとベースの相性が悪い
ベースとベースアンプは、すごく相性があると思います。
「このベースアンプはどういじっても上手くいかない!泣」と私のベースでは思うアンプでも、他の人が使えば全く問題なかったり。
レッスンで同じスタジオを使用して、さっきの生徒さんのベースだと低音が回っていたけど、
この生徒さんのベースはフルフラットでめちゃ良い感じ!といった事があって、本当に相性なんだなぁと思います。(生徒さんのベースが悪いというわけではなく、あくまで相性の問題ですので悪しからず!)
対処法:ベースアンプを変えてみる
スタジオは各部屋で置いてあるベースアンプが違う事が多いです。
また、オプション機材としてレンタルする事も可能です。
自分が使っているベースと相性の良いベースアンプは何か、是非いろいろなベースアンプを弾き比べて感じてみてもらえたらと思います。
Myベースアンプを持ち込むのは運搬に車が必要になったりで、なかなかハードルが高いかもしれないですが、
最近は小型の物もたくさん出てきているので、エフェクターを最小限にすれば電車移動でも可能かと思います。
写真は私のベースアンプ達、全然小型じゃないので車必須です笑
– 番外編 –
ライブハウスでリハーサルしている時に低音が回っていても、ライブ本番になると低音はスッキリと聴こえる事がよくあります。
それはお客さんが会場に入って、人が音を吸収するから。
なのでリハーサルで低音がまわっても「本番になったら変わるから」とあんまり気にしない事も多いです。
悪い方向に変わってしまう事もありますが…動じないメンタルが大事です笑
いかがでしたでしょうか。
色々と原因と対処法をご紹介しましたが、なかなか解決しない場合もあります。
なかなか解決しないと、
スタジオの時間は限られているし、焦ってしまったり、意地になって時間をかけすぎてしまったり、、、
もしまた同じスタジオでリハーサルが出来るなら
次はベースアンプを変えてみよう、違うベースを持ってきてみよう、と試行錯誤し様々な方法を試してみる事で、自分の感覚やノウハウが研ぎ澄まされていくので、焦らずに自分の楽器やスタジオの特性と向き合ってみてくださいね。
今回ご紹介した方法がお役に立つことを願ってます!
高原 未奈
オトノミチシルベ ベース科講師。
2012年、ベーシスト・音楽プロデューサーの亀田誠治氏が主催するベースコンテスト 「第一回亀田杯ベース選手権大会」にファイナリストとして進出。 現在はスリーピースバンド「eStrial」の活動、サポート業を中心に活動している。
【主なサポート歴】
堺正章:ブルーノート東京ライブサポート
はなわ:映画「翔んで埼玉」主題歌『埼玉県のうた』レコーディング参加
ジェジュン:レコーディング参加
花たん:韓国2daysライブサポート
その他にも SOOHYUN(U-KISS)、JUN(U-KISS)、松岡侑季、美弥るりか、斉藤朱夏(Aqours)、宮崎歩、楠田亜衣奈、chay、LovendeЯ、宇宙まお、ウソツキ、手島いさむ(ユニコーン)、amenoto、佐藤寛之(ex.光GENJI) など多数参加