こんにちは!
オトノミチシルベでヴォーカル&ギター&音楽理論の講師を務めているシンガーソングライター・河合一尚と申します。
今回は【毎日歌うのは逆効果?】ボイトレについて基礎から学ぼう!ということで、
「歌う」以外にどんな練習法があるのか、なぜ「歌う」以外の練習が必要なのかを解説していきたいと思います。
1.歌とスポーツの共通点 実戦と練習を区別しよう!
練習法紹介の前に、まず大前提として「歌とスポーツはとてもよく似ている」と考えておいて頂けると内容が入ってきやすいかと思います。
歌に限らず音楽全般にもいえることですが、発表会やライブというのはいわば「試合」のようなもので、ほんの一瞬に過ぎません。その一瞬を最大限輝かせる為に練習をコツコツと積み重ねていくのです。
また、トップアスリートになればなるほどフォームや動作に無駄がなく美しいと思えるように、洗練されたミュージシャンのフォームや動作もまた美しいものです。
きっとあなたの好きなミュージシャンもただ上手いだけでなく、見ても聴いてもカッコイイ!と思える存在ではないでしょうか?
そこには「今よりもっと上に行くにはどうしたらいい?」と自問自答を繰り返して見出した、彼らなりの信念や哲学がカタチとして表れているからなのかも知れません。
そしてこの自問自答がとても大切で、ただ毎日がむしゃらに歌ったり筋トレしたりというのも決して間違いではないのですが、正解とも言い難いです。
練習のひとつひとつには必ず意味があり目的があります。
それを考えながら行うことで、ボイトレの効果は飛躍的にアップします。
2.『毎日歌う』は逆効果?
では改善点を考えながら繰り返し楽曲を歌うことが最良の練習でしょうか?
もちろん楽曲を歌うことも大切な練習ではありますが、それはスポーツでいうところの練習試合。
日頃の練習の成果を試す為のものと捉えるくらいの方が良いかも知れません。
特に初心者の方や、まだ自らの癖を理解・コントロールし切れていない中級者の方は、毎日カラオケで歌う!といった練習は逆効果になりかねません。
なぜなら、間違った姿勢・呼吸・発声で歌えば歌うほど、その癖が染み付いてゆくからです。
癖というのは大変手強いものです。
私事ですが1ヶ月ほど前にICL手術という近視治療を行い、メガネの要らない生活になったのですが、未だにズレたメガネを手でかけ直そうする癖が抜けません。かけてないのに。
20年間で染み付いた癖がここまでとは…
ですので、間違った癖が身に付かないよう改善した上で、歌う!これが大切です。
3.犬の呼吸で腹式を身につける!「ドッグブレス」
ここからは、おうち時間で出来る簡単基礎トレーニングを3つほどご紹介します。
あくまで基礎トレーニングであり、癖を取り除く訓練ではありません。
癖は人それぞれ違いますので、ボイストレーニングを習っている方はご自身がどんな癖を持っているのか先生に聞きましょう。
習っていない方はオトノミチシルベの豪華な講師陣がお待ち申し上げております。
それでは早速1つ目のトレーニング。
まずはドッグブレスです。
その名の通り、わんちゃんが暑い時にする「ハッハッハッ」という呼吸を腹式呼吸で行います。
腹式呼吸を簡単に説明すると、吸った時にお腹が膨らみ吐いた時にお腹が凹む呼吸のことです。
寝転がって深呼吸するとお腹の動きがよく分かるので体感したい方は試してみてください。
この腹式呼吸を使って一度により多くの息を吐くトレーニングがドッグブレスです。
メトロノームをBPM80~120くらいで鳴らしてリズムに合わせて行うのがオススメです。
かなりお腹に負荷がかかりますが、腹筋を鍛える筋トレではなく、腹式呼吸で声を出す為のトレーニングですので、あまり長い時間やる必要はありません。
30秒くらいで十分ですので、毎日のルーティンに組み込んでみてください。
4.無音で出来るこっそりトレーニング!「喉仏下げ」
続いて、完全に無音、しかも見た目にはトレーニングしていることも分からない喉仏下げというトレーニングをご紹介します。
このトレーニングは、歌う上で欠かせない喉を開く感覚を身に付けることが目的です。
まず喉仏の位置を確認しましょう。
少し上を向いて喉をなぞるとコロコロとした骨の部分があります。
女性や変声期前の男性は分かりにくいと思いますのが、その場合は唾液を飲み込むと大きく動くので見つけられます。
喉仏が見つかったらそこを触ったまま口を閉じて、あくびを我慢している時のようにしてみてください。
喉仏がググッと下がったかと思います。
この状態をキープしたまま声を出すと、太く通る声になっているはずです。
声が出せる状況の場合は実際に「オー」と発声してみましょう。
電車やバスなどで出せない時はこの形を作るだけでもOKです。
次の駅までキープ!など、時間を決めてトレーニングすると効果的です。
ちなみに退屈な授業中や会議中などでも出来ますが、不意に話を振られて返事をするとミュージカル俳優ばりにイイ声で「ハイッ!」と声が出ますので、クラスメイトや上司からの注目を浴びたい場合にもおススメです。
5.歌う前のリラックス! 「リップロール」
最後にご紹介するのはみんな大好きリップロール。
これはもうTHE FIRST TAKEに出演されているアーティストさんも歌う前にやっちゃうほど、歌う人間には染み付いている定番トレーニングです。
やり方は、閉じた口を息でこじ開けるように「ブー」と出して唇を振るわせるというもの。
最初は息だけでやってみたり、裏声でやってみたりして自分の出しやすい音で数秒間鳴らせるようにしてみてください。
できるようになったら音程を付けてできるように。
最終的にはリップロールだけで曲を歌えるようになる事を目指しましょう。
できなかったり、すぐに止まっちゃう方は、タコの真似をするように手で左右の頬をつぶすようにしてあげるとやりやすくなります。
表情筋や精神面の緊張をほぐす効果があり、低音から高音まで力まずに出すための大切なトレーニングです。
6.なりたい自分になる為に
今回ご紹介した基礎トレーニングはほんの一部で、まだまだお届けしたい内容は山ほどあります。
ただ、最初にお伝えした通り、癖は人によって千差万別です。
歌や発声よりも前に姿勢を直した方がいい場合もあれば、喉は開いて歌えているけれどしゃくり癖が強すぎる場合もあったり。
その人の癖に合わせて必要なトレーニングもまた違ってきます。
こうした自分自身の状態は、独学ではなかなか掴めません。
やはり声の専門家であるボイストレーナーに見てもらうのが一番かなと思います。
ぜひ自分に合った先生と一緒に、理想の自分へ高めていってください。
音楽のある生活は、それだけで心を豊かにしてくれます。
あなたの音楽ライフがもっともっと輝きますように。
それでは次回もお楽しみに!