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『キモチはオトに、変えられる』プロミュージシャン直伝の音楽教室
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FIFINE K669D/K669C レビュー:喋りに特化したサウンドクオリティを驚異的な価格で実現したマイク

ゲームやポッドキャストなど、ネット配信向けの機材をリリースする中国発の音響機器ブランド『FIFINE』のダイナミックマイク・コンデンサーマイクをそれぞれ『ギタースラップ講座』でおなじみ、音響専門学校出身でもあるSHIMAGAKUがレビューした。
価格はそれぞれ¥6,729(執筆当時)と破格。これから配信を始めたい初心者にとっても手に入れやすい価格だが、そのポテンシャルが価格を凄まじく凌駕していることははじめに伝えておきたい。

K669D & K669C

K669Dはダイナミックマイク、K669Cはコンデンサーマイクで型番こそ最後の一文字以外は同じなだけに共通する機能も多い。まずはそちらから紹介していこう。

三脚と日本語マニュアルが付属したパッケージ

箱の中にはマイク本体と小さな三脚・取扱説明書が入っている。
マイクと機器を接続するには『XLR(キャノン)ケーブル』が必要だが、こちらは付属しないので別途用意する必要がある。

画像はK669Cのものだが、K669Dでも同様。

シンプルを極めたルックス

余計な装飾を排したシンプルな円柱型のフォルム。
それでありながら大きなグリルと艶消しの黒いフィニッシュは見た目にインパクトと高級感を与えている。

K669D
K669C

ユニークなセッティング性能

K669D/K669C、どちらのマイクにも共通のマウントホルダーが装着されている。

角度は8つの段階がつけられているのが他のマイクホルダーには見かけないユニークさを持つと同時にセッティングの再現性を高めている。

取り付け部のネジはAKG規格とSHURE規格の両方に変換ネジ要らずで対応する。
どちらも世界中で幅広く採用される規格なので、付属の三脚はもちろん大抵のスタンドに装着可能だ。変換ネジを無くしてしまう心配もないのが嬉しい。
ただ、AKG規格のネジを持つスタンドはホルダー側のネジが奥にあるため長さが足りず、スタンドに取り付けられている緩み止めのワッシャーを外さないと取り付けができない場合があるので注意したい。

マウントホルダーは取り外しも可能。
Amazonに記載の仕様では直径が6.4cmとのことなので、サイズが合うショックマウントを付ければさらなるノイズの防止が期待できる。

プロ機器対応の接続性能

接続端子には金メッキを施したXLR端子が採用されている。
初心者の方には聞き慣れない・見慣れない端子だが、XLR端子はケーブルの抜けを防止するロック機構や、侵入したノイズを相殺することで軽減する『バランス接続』方式を備えているなど、プロ用の音響機器にも採用される信頼性を持つ。
金メッキは素材の柔らかさで接点の密着度を高めることで信号の伝達ロスを低減し、音質向上の効果がある。

マイク側のXLR端子

音に特化した端子なだけにマイクとPCを接続するには両方の橋渡しとなる機器が必要だ。
それが『オーディオインターフェース』であり、各社から様々な機能を持ったものが発売されている。
こちらもXLR端子を備えたものであれば間違い無い。配信をするのであればミキサー型のものが便利だ。

注意したいのが、K669Cをはじめとするコンデンサーマイクは『ファンタム電源』と呼ばれるマイク専用の電源が必要になること。
オーディオインターフェースからXLRケーブルを通じて供給するものなので、『ファンタム電源』を備えているかはチェックすべきポイントだ。

『+48V』や『PHANTOM』といったスイッチがあればファンタム電源対応。スイッチを入れたり切ったりするときは必ずすべてのつまみを0にしてからでないと、機器を痛めてしまう場合があるので要注意。

XLRケーブルでマイクとオーディオインターフェースを、
USBケーブルでオーディオインターフェースとPCを接続し、音の入出力を設定してオーディオインターフェースでマイクの入力音量を調整すれば準備完了。

①XLRケーブルのメス側をマイクに、
②XLRケーブルのオス側をオーディオインターフェースに接続。
ファンタム電源もこの時にON。
③入力音量を調整。大きな声を出した時にPEAKランプが点くか点かないかが適正だ。

サウンドインプレッション

ここからはK669D・K669Cそれぞれについて音質についてのレビューを行っていく。
両者との違いや他機種との比較についてもサウンド付きで触れているので、最下部の動画を参考にしていただければ幸いだ。

K669D

ラジオで聴けるようなはっきりとした声が手軽に届けられる

ダイナミックマイクであるK669Dだが、ダイナミックに対するイメージからはとてもハイファイで輪郭のはっきりした音声を出力する。
動画内ではスマホ内蔵マイクとの比較も行っているが、部屋の響きやマイク自体のノイズが大きく抑えられており、声がクリアに聞こえるのがおわかりいただけるだろう。
ダイナミックマイクといえばSHUREのSM58が「ド」がつく程の定番だが、そちらと比べてみると明らかに高域成分が豊富であることがわかる。聞き慣れたはずSM58がかなり籠った音に聞こえ、若干チープに感じてしまうほどだった。
近づいて喋っても息が吹きかかることによるポップノイズや近接効果による低域のボワつきもSM58と同程度に抑えられており、変なクセも感じられなかった。ラジオで聴けるような音質がイコライザなどで緻密に作り込まなくともそのまま出てくるのだから、価格からは信じられない程バランスが取れた音質であることには驚きを隠せない。

K669C

リアリティと聞き取りやすさを両立した『喋り』特化型

こちらはコンデンサーマイクのK669C。一聴しただけではそのポテンシャルを感じることは難しく、正直いい音のするコンデンサーマイクは他にもあると思ってしまっていた。
しかし、他のマイクを並べてみて初めてその真価を理解することができた。

AT4040(左)とC214(右)

比較対象はaudio-technicaのAT4040とAKGのC214。
どちらも4~5万円とK669D/Cが数本買えるクラスであり、歌い手にも人気の高いマイクである。
コンデンサーマイクの長所である超低域から超高域までのレンジの広さや音楽的な表現力といったところでは流石にこういったマイクに軍配が上がる。
しかし、比較するポイントを変えてみるとどうだろうか。
「聞きやすい声かどうか」というところではK669Cの方が優っていると感じたのだ。
具体的には高域のピークがやや下にあり、子音の違いがはっきりわかるようになっている。しかし、耳に痛いサ行の音(いわゆる『シビランス』)は程よく抑えられている。
配信で声を魅力的に伝えたくなるのは当然だが、聞きにくい声ではせっかくの魅力も台無しになってしまう。喋りにおいてはその内容を的確に伝えつつ、コンデンサーならではのリアリティあふれるサウンドを実現していると言えるだろう。

用途や周辺環境に合わせたモデル選びをしよう

どちらのマイクも、『聞き取りやすさ』においては優れた音質を出力するマイクだという印象を強く感じさせられた。
型番こそほとんど同じなのでどちらを選べば良いか迷うユーザーもいらっしゃるかと思うが、それぞれに特徴やメリットがあるので自分にあったモデルを選んでもらいたい。

明瞭さ・手軽さで選ぶならK669D

声の明瞭度合いではK669Dの方がよりはっきりしている。
そして、とにかく手軽に機材を揃えたいとなるとオーディオインターフェースもファンタム電源の無いものも選択肢に含めることになるが、ファンタム電源不要のK669Dなら全く問題ない。

声を魅力的に伝える・ノイズへの強さならK669C

コンデンサーの特徴でよく『繊細な音まで拾える』と言われるが、自分の声のディティールまで伝えたい・ASMRをやってみたいのであれば、K669Cはその要望を存分に満たしてくれるだろう。
コンデンサーマイクはマイク自体の出力レベルが高いのでダイナミックマイクほどオーディオインターフェースで感度を上げる必要がない。
安物のそれになると感度を上げた際にオーディオインターフェース自体のノイズも増幅されてしまうことがあるため、防ぐ方法としてはそもそも感度を上げなくとも音量が稼げるマイクを使うのが先決だ。

配信マイクのニュースタンダードになり得るマイク

FIFINEのK669DやK669Cは、その明瞭さとバランスの良い音質を7千円を下回るコストパフォーマンスの高さで実現した、小さなモンスターだ。
デザインや機能のシンプルさ、そして『喋り』に重点を置いたと感じられるサウンドからは極めて合理的なコストダウンの手法をとっていると感じられ、用途をマッチさせることでそのポテンシャルは下手に高級な機材を使うよりも効果的に活かすことができる。
有名だから、高級だから、ではなく真に機能やクオリティを求めるのであれば、このマイクを使わないのは実に勿体無いので一度試してみるべきだ。

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SHIMAGAKU

2001年 東京都八王子市生まれ。
「MIYAVI奏法講座」として独学で学んだスラップギターの奏法やフレーズなどを解説する動画シリーズを制作。
ギターのみならずドラムやベース・ウィンドシンセなど様々な楽器を演奏するほか、ドライブやキャンプも楽しむなど趣味は多岐にわたる。
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